労働問題
【2024年最新】弁護士が行う「退職代行」の流れを退職完了まで徹底解説!
労働者本人の代わり、退職の意思を会社に伝え、退職の手続を行う「退職代行」。サービスの利用者が増加したことに伴い、知名度も上がっているサービスです。本記事では、弁護士による「退職代行」の流れに加え、弁護士による退職代行と弁護士資格を持たない民間業者による「退職代行サービス」の違いや利用の際の注意点について徹底解説いたします。
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労働者本人に代わって、退職の意思を会社(所属企業)に伝え、退職の手続を行う「退職代行」。
年々、サービスの利用者が増加したことに伴い、知名度も上がっているサービスです。
退職代行の認知度が向上した要因の一つとして、人件費の低迷や所得環境の悪化により、長時間労働かつ低い給料で人員を配置する、いわゆるブラック企業が増えたことが挙げられます。
本記事では、弁護士による「退職代行」の流れを退職完了まで徹底解説させていただきます。
記事の途中で、ご質問数の多い、弁護士による「退職代行」と弁護士資格を持たない民間業者が運営する「退職代行サービス」の違いや利用の際の注意点についてもご紹介させていただきます。
この記事が、「退職代行」に関する疑問の解決に繋がったり、実際に退職代行の利用を検討されている方の一助となれば幸いです。
退職代行についておさらい
弁護士による「退職代行」の流れを退職完了まで解説する前に、「退職代行」とはどのようなサービスなのかご説明させていただきます。
退職を希望する際に、第三者である弁護士や民間企業に「退職代行」を依頼した場合、違法ではないのか、というお声をたびたび耳にします。
結論から申しますと、「退職代行」は違法ではありません。
原則、正社員を含む労働者には、拒否されることがないという退職の自由が、法律上定めらています。
具体的には、期間が定められていない雇用契約である場合、「退職の意思を表示をして、2週間経過した際には退職できる」といった内容です。
第627条1項:期間の定めのない雇用の解約の申入れ
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
弁護士による退職代行と民間業者による退職代行サービスの違いと利用の際の注意点
退職代行サービスを利用するにあたって、弁護士と弁護士資格を持たない民間業者では、退職代行で提供できるサービスが異なります。
弁護士資格を持たない民間業者が上記の行為以外の業務を行うことは、「非弁行為」と見なされます。
前提として、退職に伴い、退職日や残業代・未払給与など金銭面などの交渉をはじめ、トラブル発生時の対応など行う際には、「弁護士資格」が必要です。
弁護士以外の人間が弁護士資格を持っている者しか行ってはいけないと法的に定められている行為を行うこと
弁護士資格を持たない民間業者が法律に違反した場合、【2年以下の懲役】または【300万円以下の罰金】の処遇を受ける可能性が高いです。
弁護士資格を持たない民間業者が運営する「退職代行サービス」依頼し、「非弁行為」に該当する手続を行った場合、相談者に対しても次のリスクが生じるため、注意しましょう。
- 相談者も事情聴取を受けるリスク
- 勤務先から「損害賠償請求訴訟」を起こされてしまうリスク
弁護士だけが法的に許可された「退職代行」にまつわる交渉などの手続は、次の通りとなっており、依頼者本人の代理人として、全てのやり取りを行うことが可能です。
法的トラブルが生じた場合にも、法律のプロである弁護士に依頼することで、相談者の精神的負担や時間を削減してもらえるだけでなく、効率的かつ適切なアドバイスをもらえる心強い味方となるのではないでしょうか。
退職代行の流れ
退職代行を希望する方の多くは、上司や会社が「なかなか辞めさせてもらえない」、取引先との関係から「会社を辞めづらい」という悩みを抱えてしまう方も少なくありません。
退職代行を利用する理由として、次のような理由が挙げられます。
- 上司のパワハラやセクハラが横行している
- 違法な長時間労働を強いられる
- 残業代が出ない
- タイムカードを上司や会社の判断で押されてしまう
- 激務のストレスから体調を崩してしまった
- 仕事で追い込まれ精神的な不調となり、出社が困難である
- 仕事でいじめに遭い、仕事に支障をきたしている
- 入社前に伝えられていた業務内容や福利厚生と異なる
- 有休消化や病気が理由の休暇を取得できない
これらを踏まえ、こちらの章では、本記事のメインテーマである弁護士による「退職代行」の流れを退職完了まで徹底解説させていただきます。
退職代行の利用を検討されている方や辞めたくても辞められないと悩みを抱えている方の参考になりましたら幸いです。
1. ご相談
まずは、XP法律事務所が提供する、退職代行サービス「退職代行 QUIT」までご相談ください。
会社を辞めたい理由をはじめ、有給消化や未払給与などについて、気軽にお問い合わせできるよう「退職代行 QUIT」は、相談無料となっています。
お電話での相談はもちろん、LINEでも対応可能です。
特に、LINE相談では、退職について悩まれている方に迅速に寄り添えるよう、24時間受付対応している上に、その都度、相談内容を見返しやすいのではないでしょうか。
併せて、相談時には、トラブルを防ぐためにも、次の項目について質問しましょう。
2. お支払い
依頼を決めたら、お振り込みまたはクレジットカードで費用をお支払いいただくことで、すぐに退職へ向け動き出します。
また、弁護士であれば、弁護士資格を持たない民間業者と異なり、退職時に伴う有給休暇の取得の交渉をはじめ、残業代や未払給与などの請求も依頼することが可能です。
万が一、法的トラブルに発展した場合にも、弁護士であれば、迅速に対処できます。
3. 会社への通知内容の確認
通知書や相談者の意思確認を行い、弁護士より、退職を希望する会社宛に文書による退職の意思表示を行います。
万が一、会社が退職を認めない場合、退職の意思表示を行ったことを法的に明確にするためにも、内容証明郵便で退職通知を送るといった対処を施します。
その際、内容証明郵便の送付証明書やコピーを保管しておくなどし、適切な対応を行うことが重要です。
4. 退職連絡
退職を希望する会社への連絡は全て弊所が行います。
退職代行を弁護士に依頼する場合、退職に伴う手続や会社とのやりとりを代行可能です。
弁護士であれば、退職を希望する会社に対し、退職希望者の代理人になったことを伝える「受任通知」を送付します。
法的な強制力を持つ「受任通知」を送付することで、弁護士が退職を希望する会社との連絡窓口代わりとなります。
退職希望者本人に直接連絡が来ることがなくなるため、強引な引き止めに遭ったり、精神的な負担を軽減できる点がメリットではないでしょうか。
上司や会社での環境に振り回されることなく、転職活動やプライベートに集中することができ、相談者様の手を煩わせることはありません。
重ねて、次の項目について交渉する場合、弁護士が法的観点から相談者の状況に最も適した解決方法を提案可能です。(※これらの費用は「退職代行費用」とは別途必要です。)
- 離職届や源泉徴収票の請求
- 退職日の調整
- 有給休暇取得の交渉
- 残業代や未払給与の請求
- 退職金の請求
- 労災の申請代行
- セクハラ・パワハラなどに対する慰謝料請求
- 会社側からの損害賠償請求への対応
5. 必要に応じ、アフターフォロー
XP法律事務所では、退職の際に、必要な書類のやり取り含め依頼できる、退職代行に加え、労災手続や退職給付金申請などのアフターフォローも併せて行っています。
前提として、労災申請とは、労働者が職場での業務によって負った傷病や障害を「労働災害」として認定し、それに基づき、給付や補償を受けるための手続です。
セクハラやパワハラ、長時間労働などが原因でうつ病や身体的な疾患が発生した場合、労災申請をすることで「労働災害」として認定される可能性があります。
労働災害の認定手続きを含む労働問題に関する専門知識を持つ弁護士であれば、申請時に必要な診断書をはじめとする書類の準備や適切な手続をサポートすることが可能です。
「退職代行」を依頼する前に確認すべきこと
弁護士による「退職代行」を利用するにあたって、次の4点を確認すると、スムーズに手続を進めることが可能です。
- 有給休暇の残日数
- 就業規則
- 備品を返却するための準備
- 社宅や社員寮を利用している場合には、退去準備と新居の確保
1. 有給休暇の残日数
まずは、有給休暇の「残日数」を会社稼働日と照らし合わせながら計算し、退職日を把握しましょう。
有給休暇の残日数がある場合、いわゆる「有休消化後」に退社することが可能です。
原則、有給休暇は、労働基準法39条において労働者の「有給休暇を取得する権利」が認められています。
第39条:年次有給休暇
使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
従って、有休消化後の退職日を把握することで、退職に係る書類を作成する際に必要な「退職日」を記入することができ、円滑に手続を行えます。
有給休暇の残日数は、上司や人事部をはじめ、給料明細や勤怠などのチェックを行う会社の個人ページなどで確認しましょう。
2. 就業規則
続いて、会社の「就業規則」を確認しましょう。
①労働時間や賃金などの労働条件 ②職場内のルール を定めた規則のこと
「就業規則」をチェックすることで、退職手続の準備を余裕を持って行えます。
就業規則で「退職を希望する場合は、1ヶ月前の申告が必要」と定められているケースが多いですが、民法上では会社に退職の申し出をした場合、2週間経過することで退職が可能です。
正当な理由による「即日退職」を希望する場合、弁護士に依頼することで、法律上の権利を主張・交渉できる可能性があります。
民法における「やむを得ない事由による雇用の解除」に該当する正当な理由とは、次の図の通りです。
また、退職時に引き継ぎ業務を要する場合や気持ちや時間に余裕のある際には、予め引き継ぎ内容をまとめて、共有しておくと、トラブルが起きる可能性を最小限に抑えることに繋がるのではないでしょうか。
3. 備品を返却するための準備
退職に伴って返却しなければならない備品を確認しましょう。
具体的には、貸与されたパソコンやスマートフォン、制服、仕事道具などが含まれます。
特に、社用車を使用している場合には、車に積んだ荷物などを回収し忘れないよう、事前にチェックすることをおすすめします。
会社の規定によっては、返却すべき備品が異なる場合がありますので、会社の規定を確認し、返却漏れのないよう心掛けましょう。
4. 社宅や社員寮を利用している場合には、退去準備と新居の確保
社宅や社員寮を利用している場合には、退職時に併せて退去する必要があります。
時間に余裕を持って計画を立て、段階的に進めることが大切です。
具体的な手順については、次の表を参考にしてください。
退去に伴う準備 | 具体的な内容 |
1. 引越し先の決定 | 退職日までに新居を見つける必要があります。 部屋の探し始めは早めに取り掛かり、退職日までに契約手続きを完了させるよう徹底しましょう。 |
2. 部屋の片付け | 部屋の片付けを計画的に進めましょう。 長年住んでいる場合は、物の整理や不要なものの処分に時間を要する可能性があります。 |
3. 家具や荷物の処分 | 新居に持ち込む物と処分するものを整理しましょう。 必要なものは梱包して引っ越し準備を進め、不要なものは処分またはリサイクルショップ・寄付先に提供するなどの方法で処分します。 |
4. 住所変更の手続 | 新居が決まったら、郵便や公共料金、銀行口座などの住所変更手続きを行います。 期限切れとなり、書類の再発行などで新たに会社とのやり取りが生じるのを防ぐためにも、忘れずに行いましょう。 |
5. 社宅の整理 | 退職に伴って社宅や寮を出る場合は、入居時の状態に戻す必要があります。 契約内容や規定に従って、清掃や修繕などの手続を行いましょう。 |
退職代行のご相談はXP法律事務所まで
ここまで、本記事では、弁護士による「退職代行」の流れに加え、ご質問数の多い、弁護士による「退職代行」と弁護士資格を持たない民間業者が運営する「退職代行サービス」の違いや利用の際の注意点について解説させていただきました。
退職代行を依頼するにあたって、次の要点を押さえましょう。
- 任意退職は、民法で認められた労働者の権利であり、期間の定めのない雇用契約は、退職申入れの翌日から2週間経過することにより、退職できること
- 弁護士資格を持たない民間業者が運営する「退職代行サービス」が代行できるのは、退職の意思を会社に伝えることのみ
- 弁護士であれば、法的に行う業務の幅に制限はなく、退職に伴い、退職日や残業代・未払給与など金銭面などの交渉をはじめ、トラブル発生時の対応を行える
精神的負担を軽減することにも繋がる「退職代行」をうまく活用することで、次の転職・就職に向けても、しっかりと準備ができ、より良い環境に転換することが可能です。
弁護士に「退職代行」を依頼することで、会社とやり取りせずに「退職の意思」を代理で伝えてもらえるだけでなく、有給休暇の取得の交渉をはじめ、残業代や未払給与などの請求も依頼することができます。
弁護士の知識と経験を活かした効果的なアプローチを頼りに、法的観点から相談者の状況に最も適した解決方法によって、迅速な退社へ向けて、共に並走しましょう。
労働環境に悩んでいる場合には、弁護士による「退職代行」を検討してみてはいかがでしょうか?
※こちらの記事は、2024年2月29日時点の情報です。
お問い合わせ先
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- 代表弁護士:今井 健仁(第二東京弁護士会)
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