遺産・相続
【2023年最新】親の借金問題解決徹底解説!肩代わりを防ぐ方法や相続の時効など
「親が借金は自分が肩代わりしなければいけないのか」「親が亡くなった際、借金も相続することになるのか」特にコロナ渦の影響による、不景気中の親の借金問題ということで、頭を抱えてしまう方も少なくないのではないでしょうか。借金を無理なく返済したり、皆さまの問題解決を解決できるよう、子供の返済義務や対処法など、徹底解説します。
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「親が借金が発覚し、自分が肩代わりしなければいけないのか」「親が亡くなった際、借金も相続することになるのか」
特にコロナ渦の影響による、不景気中の親の借金問題ということで、頭を抱えてしまう方も少なくないのではないでしょうか。
借金を無理なく返済したり、皆さまの問題解決をお助けできるよう、子供の返済義務や対処法など、わかりやすく徹底解説します。
大きな額の借金であっても、状況に即した手段を選択することで、借金問題を少しでも軽減できる可能性が十分にあることを忘れないでください。
この記事が弁護士に依頼するかの判断を決めかねている方や親の借金問題を抱えてお困りの方の一助となれば幸いです。
原則、親の借金は子どもに返済義務はない
親の借金問題は、生計をともにする夫婦の生活にも影響を及ぼす重要な課題であるため、配偶者の返済義務の有無について、気になる方も多いのではないでしょうか。
結論として、原則子どもに親の借金の返済義務はありません。
返済義務が生じるのは、契約者本人=借主であるご両親です。
そもそも、債務者(借金を負った人)ではない第三者に返済を請求する場合、法律違反に該当します【貸金業法 21条1項7号】。
契約していないにも関わらず、親の借金を肩代わりさせようとする業者は、悪質な闇金・サラ金である可能性が高いため、ご注意ください。
子どもが返済義務を負う主なケース
原則子どもに親の借金の返済義務はない一方で、子どもが親の借金を返済する必要のある例外的なケースも存在するのも現実です。
それでは、親の借金で子どもに返済義務が生じる3つのケースについて、詳しくご説明していきます。
1. 親が子どもの名義で借金をした場合
親が子ども名義で借金をした場合、子どもに返済義務が生じる可能性が高いです。
残念ながら、親に頼まれて子どもが同意した借金以外のケースも存在します。
それぞれのケースと具体例、刑法についてご紹介します。
ケース | 名義(支払い)の所在 | 理由 | 刑法 |
親に頼まれた場合 | 子ども | 子どもが承諾したため | – |
親に名義を貸した場合 | 子ども | 子どもが承諾したため | 【親・子ども】 詐欺罪 |
【落ち度あり】 親に身分証明書や実印を無断で使用された場合 | 子ども | 子どもが親と同居かつ身分証明書や実印など、簡単に持ち出せるところで管理していたため | – |
【落ち度なし】 親に身分証明書や実印を無断で使用された場合 | 子ども・親 | 子どもが身分証明書や実印などを厳重に管理していたにも関わらず、親が盗み出したため | 【親】 名義冒用 無権代理 ※親に代理権がなかったことを子供が証明する必要がある※裁判の可能性が高い |
親に騙された場合 | 子ども・親 | 子どもは、契約の無効を主張して返済を拒否できる可能性があるため 右記を証明できない場合、子どもに支払い義務がある | 【親】 錯誤・詐欺罪 ※署名・押印を自分でしたものでないことを子供が証明する必要がある |
親に脅された場合 | 子ども・親 | 子どもは、強迫による意思表示を理由に、契約を取り消して、返済を拒める可能性があるため ◎認められる可能性が低い | 【親】 強迫・詐欺罪 |
2. 子どもが親の借金の保証人・連帯保証人に設定されている場合
子どもが親の借金の「保証人」または「連帯保証人」になっている場合、子どもにも返済義務が生じます。
保証人または連帯保証人には、契約者本人と同一の返済義務があるのです。
よって、親が返済を延滞した場合や返済不能になった場合には、子どもが代わりに返済する義務が生じます。
個人の借入だけでなく、親が保証人または連帯保証人になっている会社の借入なども同じ扱いです。
しかし、原則として、親が子どもに断りなく保証人または連帯保証人に指定した場合、子どもは借金を返済する必要がありません。
ただし、免許証などの身分証明書や源泉徴収票、実印などの管理を親に任せていたり、簡単に持ち出せるところで管理していた場合には注意が必要です。
その理由に、近年の消費者金融のインターネット審査では、個人情報の簡易的な確認のみで借入が可能なことが挙げられます。
子どもには知らせず、保証人または連帯保証人にして借金を作ってしまった場合には、子どもに返済義務が生じてしまうのです。
しかし、連帯保証人は保証人と比べ、より責任が重いといえるでしょう。
該当者/権利 | 催告の抗弁権 | 検索の抗弁権 | 分別の利益 |
保証人 | あり | あり | あり |
連帯保証人 | なし | なし | なし |
「催告の抗弁権」とは、主債務者(借金を負った人=親)に債権の履行の能力(期日通りに借金を返済する能力)がある場合、「まずは、主債務者 (親)に請求してほしい」と主張できる権利のことです。
「検索の抗弁権」とは、保証人が主債務者(借金を負った人=親)に返済できる能力があることを証明することで、先に主債務者(親)から返済してもらうよう主張できる権利のことです。
「分別の利益」とは、保証人が複数人設定されている場合、その人数で割った金額で弁済できる権利のことです。
3. 親の遺産を相続した場合
親が亡くなり、子どもが親の遺産を相続した場合、親が亡くなると、子供は親の財産を相続します。
相続とは、故人(亡くなった方)に属していたすべての財産(権利・義務)を特定の人が引き継ぐことです。
ここで意味する財産とは、預金や土地、住宅などプラスの財産だけではありません。
返済中の借金や事業での借入など、マイナスな要素のある財産=債務(借金)も含まれているのです。
つまり、親が借金を抱えたまま亡くなった場合、その借金は子供が相続し、返済義務を負う必要があります。
親の借金を相続・返済する場合、法定相続分(民法で定められた割合)に準じて、法定相続人が引き継ぎ、返済しなければいけません。
「法定相続人」とは、法律で定められた相続人のことです。
法定相続分とは、民法で定められた遺産分配の目安割合を指しています。
詳しい割合は、次の通りです。
相続順位 | 法定相続人と法定相続分 | |
第1順《子どもがいる場合》 | 配偶者1/2 | 子ども1/2 |
第2順《子どもおらず、父母がいる場合》 | 配偶者2/3 | 父母1/3 |
第3順《子どもと父母がおらず、兄弟姉妹がいる場合》 | 配偶者3/4 | 兄弟姉妹1/4 ※人数で分配 |
ただし、法定相続分はあくまで目安や理想です。亡くなった方の遺言書が作成されていた場合、そこに記載された相続割合が法定相続分よりも優先されます。
子どもに返済義務のないケースも
親の名義で住宅ローンを組んだ場合、団体信用生命保険(団信)しているか否かにより、返済義務が異なります。
団体信用生命保険(団信)に加入している場合、親が亡くなった際に、生命保険会社が本人に代わって住宅ローンをすべて返済してもらえるのです。
従って、子どもに借金の返済義務は発生しません。
一方、団体信用生命保険に加入しておらず、民間金融機関やフラット35などで住宅ローンを組んだ場合、借金を返済する必要があるので、ご注意ください。
親の借金を調べる方法
先ほど、子どもが親の借金を返済する必要のある例外的なケースをご紹介しました。
親の借金を把握している方だけでなく、「親に借金があるのか」「その借金がどの貸金業者から借りているのか」「どのくらいの金額借りているのか」不安な方も多いのではないでしょうか。
子どもの立場でも、なかなか借金があるのか質問するのを躊躇してしまう一方で、親の立場でも、借金があると打ち明けづらいことから、把握に時間がかかってしまう方が多い印象です。
親宛の郵便物やメールを確認したり、親の知人や親族に聞くこと以外に、親の借金の有無を確実に調べることが可能な方法は、次の3つです。
- 信用情報機関(ブラックリスト)に情報開示を依頼
- 親名義の土地・建物の抵当権を法務局で調べる
- 親の銀行の通帳を確認する
こちらの章で、親の借金を調べる方法についてご説明することで、親の借金問題解決への一歩となれば幸いです。
1. 信用情報機関に情報開示を依頼
信用情報機関に情報開示を依頼することで、親の借金の有無を確認することが可能です。
信用情報(いわゆるブラックリスト)とは、個人や法人が金融機関やクレジットカード会社などから融資(借入)などを受ける際に関わる情報を指します。
この信用情報の収集・管理を行っているのが「信用情報機関」です。
日本における、主要な信用情報機関は次の3つです。
名前 | 加盟期間 |
全国銀行個人信用情報センター(KSG) | 銀行・信用金庫・信用保証協会など |
株式会社シー・アイ・シー(CIC) | クレジットカード会社 |
株式会社日本信用情報機構(JICC) | 消費者金融 |
これらの機関のインターネット上の公式ホームページ(またはスマートフォンアプリ)や郵送により、親の借金情報を確認できます。
親が存命中の場合
親が存命中の場合、信用情報の開示依頼ができるのは、親本人に限られています。
親が亡くなっている場合
親が亡くなっている場合、信用情報の開示依頼ができるのは、法定相続人または2親等以内の血族の方です。弁護士・司法書士が法定相続人等から委任を受けた場合も、開示手続きに携わることができます。
「2親等」とは、親の配偶者の兄弟姉妹・祖父母・父母・子ども・孫のことです。自然血族だけでなく、養子縁組による法定血族も対象です。
2. 親名義の土地・建物の抵当権を調べる
親名義の土地・建物の「抵当権」を調べることでも、親の借金の有無を調べられます。
抵当権とは、銀行や金融機関から借り入れをする際、土地や建物などに設定される権利です。
債務者(借金を負った人)が返済できなくなった(債務不履行)場合、債権者(借金をしている業者)が担保とした土地や建物を売却し、返済に充てる=借金を回収することになります。
抵当権の有無は、法務局にある「全部事項証明書(登記簿)」を確認しましょう。
「全部事項証明書」とは、不動産にまつわる登記記録の全てが記録された証明書のことです。
抵当権が現存している場合、親に借金がある可能性が非常に高いです。
ただし、建物への抵当権が住宅ローンである場合、親の死亡時に団体信用保険によって支払われるため、債務(借金)が免除となる可能性もあります。
3. 親の銀行の通帳を確認する
存命の親の同意のもとや親が亡くなってしまった場合、親の銀行口座の通帳を確認することで、親の借金の有無を調べられます。
身の周りの書類や銀行口座の取引履歴を調べることで、貸金業者の契約書や債権者(借金をしている業者)から届いた郵便物、銀行口座の取引履歴から借金が発覚することも少なくありません。
特に、借金の返済方法を銀行口座からの引き落としにしている場合、貸金業者から月々の引き落としがないか通帳を確認するのがわかりやすいのではないでしょうか。
ただし、貸金業者では、引き落とし名義に社名をそのまま表記することは少ないため、注意してください。
親の借金の肩代わりを防ぐ解決策
この章では、親の借金の肩代わりを防ぐ解決策についてご紹介します。
1人で借金を抱え込んでしまう前に、次の解決策を検討してみてください。
相続放棄をする
「相続放棄」する場合、親の借金を返済する必要はありません。
相続放棄とは、相続された資産や負債の【権利・義務】を一切引き継ぐことなく、法的に破棄することです。
つまり、プラスの資産・マイナスの資産問わず、全て放棄することを意味しています。
相続放棄が認められた場合、預金や土地などプラスの財産が相続できなくなる代わりに、返済中の借金や事業での借入など、マイナスの財産を相続する義務も放棄される=債務(借金)返済の義務がなくなるのです。
相続放棄を希望する場合には、相続開始後3ヶ月以内に家庭裁判所に申述しましょう。
相続放棄を行うにあたって、損をしないためにも、詳しい手順や申請方法、「財産調査(財産の価値を確認する)」の進め方がわからない方は、弁護士に依頼することも可能です。
債務(借金)がプラスの財産を大きく上回る際や価値のある財産がない場合、相続放棄を検討してみてください。
▼相続放棄 詳細
名称 | 相続放棄 |
内容 | 相続された資産や負債の権利・義務を一切引き継ぐことなく、法的に破棄する |
申し立て | 各相続人単独で可能 |
メリット | ・負債がある場合、返済義務を負わない ・相続の効力が及ぶのを防げるため、相続人は自身の財産を守れる ・相続手続を行う必要性がない |
デメリット | 財産をすべて放棄する必要がある |
相続放棄をしても遺族年金・未支給年金・生命保険金は受け取れる?
先ほど、相続された資産や負債の【権利・義務】を一切引き継ぐことなく、法的に破棄する方法に、「相続放棄」をご紹介しました。
借金問題と相続について、ご質問も多く寄せられるため、相続放棄ついてさらに詳しく掘り下げて、ご説明していきます。
子どもが親の遺産の相続放棄した場合でも、遺族年金・生命保険金・未支給年金は受け取れます。
1. 遺族年金
「遺族年金」は、相続財産ではないため、相続放棄をした場合でも、受け取れます。
遺族年金は、その名の通り、遺族が固有の権利に基づいて受給するお金です。
国民年金に加入している自営業者や専業主婦の場合「遺族基礎年金」、厚生年金に加入している会社員の場合「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類が受給対象となります。
名称 | 加入者区分 | 受給者 |
遺族基礎年金 | ① 国民年金に加入していた自営業者や専業主婦 ② 厚生年金に加入している会社員 | ① 国民年金に加入者により、生計を維持されていた ② 18歳到達年度の末日までにある子(障害者は20歳未満)のいる配偶者または子ども |
遺族厚生年金 | ②厚生年金に加入している会社員 | ① 厚生年金に加入者により、生計を維持されていた 遺族(配偶者・子ども・父母・孫・祖父母の中で優先順位の高い方) |
2. 未支給年金
「未支給年金」は、相続財産ではないため、相続放棄をした場合でも、受け取り可能です。
未支給年金とは、亡くなった親が年金を受け取る権利があったにも関わらず、年金を請求せずに、受け取らなかった=支給されなかった年金を指します。
年金は基本的に後払いのため、年金を受けている人が亡くなった場合には、未支給年金は発生すると考えると良いでしょう。
年金受給中に亡くなった場合
- 偶数月に亡くなった場合、1か月分
- 奇数月に亡くなった場合、2か月分
未支給年金は、相続税の課税対象ではありませんが、所得税として取り扱われることがあります。
確定申告しなければならないケースがあることをご了承ください。
名称 | 加入者区分 | 受給者 |
未支給年金 | ① 死亡の当時に生計を同一していた ② 死亡した年金受給者の配偶者・子ども・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹 | ① 死亡の当時に生計を同一していた ② 死亡した年金受給者の配偶者・子ども・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹 |
3. 生命保険金
「生命保険金」は、相続財産ではないため、相続放棄をした場合でも、相続財産ではないため、受け取れます。
生命保険金の受取人が次の人物であることが条件です。
- 受取人=相続放棄をした人と指定されている
- 受取人指定はないが、法定相続人=受取人と取引条項に定められている
上記のケースに該当している場合、受取人固有の財産と見なされます。
ただし、生命保険の受取人が契約者本人になっている際には、注意が必要です。
その場合、生命保険金は故人の財産になるため、生命保険金は受け取れなくなります。
亡くなった親に生命保険契約がある場合は、受取人が誰であるのか、契約内容を確認しましょう。
重ねて、相続放棄をした場合、生命保険金に設けられた、相続税の非課税枠【500万円×法定相続人の数】を利用できないことをご理解ください。
限定承認をする
「限定承認」する場合、親の借金の肩代わりをする必要がありません。
限定承認とは、相続された財産のうち、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を相続人が引き継ぐことです。
つまり、相続する資産を一部に限定する手続きを意味しています。
プラスの財産がマイナスの財産を上回った際には、残ったプラスの財産を相続できるなど、超過分を切り捨てることができるのが特徴です。
プラスの財産でマイナスの財産=債務(借金)を支払うことができない場合には、それ以上相続人は支払いをする義務はありません。
限定承認は次のようなケースに適しています。
- 債務(借金)がどの程度あるか不明
- 財産が残る可能性がある
- 一部のプラスの財産のみ引き継ぎたい
- 相続財産の中で必要なものがある
限定承認をする際には、家庭裁判所で相続開始後3ヶ月以内という期限が設けられているため、ご注意ください。
また、こちらの手続は、複雑かつ相続人全員が共同で申請する必要があります。
相続人で合意に至る上で必要になる、負債がどの程度であるかなどの情報やどの手続が適しているか判断材料が欲しい場合、弁護士などの法律のプロに依頼することで、円滑な借金問題解決へと繋がるのではないでしょうか。
▼限定承認 詳細
名称 | 限定承認 |
内容 | 相続された資産や負債の権利・義務を一切引き継ぐことなく、法的に破棄する |
申し立て | 相続人全員で申請する必要がある |
メリット | ・負債は相続財産の範囲内のみの負担で、それ以上支払う必要がない ・負債は相続財産の範囲内のみの負担であるため、相続人は自身の財産を守れる ・プラスの財産がマイナスの財産を上回った際には、その財産を相続可能 |
デメリット | 相続財産の含み益は譲渡所得として課税される |
「含み益」とは、取得価格(購入時の価値)と時価(現在の価値)を比較した利益の差額のことです。取得価額が時価よりも安い場合、利益があると言えます。 ※100円で購入したものが150円へと価値が上昇=50円の利益
「譲渡所得」とは、土地や建物、株式、ゴルフ会員権をはじめとする資産を譲渡することで生じる所得のことです。
自己破産をする
「自己破産」をする場合も、親の借金の肩代わりを回避できます。
自己破産とは、債務者(借金を負った人)の生活を再建させるための合法的な借金問題解決手段である「債務整理」の手続の一つです。
具体的には、「財産がないことで、借金(債務)が全く返済できない場合、裁判所を通し、借金の全額免除を認めてもらう手続」を指します。
こちらの手続において、裁判所で「免責決定」と認めてもらうことで、税金や養育費をはじめとする「非免責債権」を除く、すべての債務が免除されるのです。
「非免責債権」とは、自己破産の手続きが終わっても支払義務が残る(免責されない)「債権」のことです。
具体的には、次のようなものを指します。
- 租税〈固定資産税や住民税、所得税、住民税、贈与税、相続税、自動車税、国民健康保険税、国民年金保険料〉、一部の水道代(下水道利用料金)など
- 罰金〈交通違反など〉
- 損害賠償《故意または重過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づくもの》《悪意で加えた不法行為に基づく》
- 破産者が扶養義務者として負担すべき費用〈養育費など〉
判断する際には、申し立てた人=子どもの収入や借金の額、借金理由が考慮されます。
自己破産では、原則的に、借金を負った人(債務者)が所有する財産をお金に換えることで、借金をしている業者(債権者)に配当します。
借金の心配をなくし、生活費を確保できるなど、これからの人生を前向きなものにできる点がメリットではないでしょうか。
重ねて、全ての財産を取り上げられるのではなく、裁判所が定める基準の財産(20万円以下の預金や年式の古い自動車など)は手元に残せるのが利点です。
ただし、先ほどご紹介した「非免責債権」に加え、親の借金の理由が「免責不許可事由」に該当する場合、自己破産は認められません。
「免責不許可事由」とは、自己破産による免責が認められないケース=借金の帳消しが認められない理由のことです。具体的には、ギャンブルや浪費、お金のかかる趣味、ホスト・キャバクラなどを指します。
よって、今後の解決策を考えていく上でも、親の借金理由について、しっかりと把握することが重要です。
親にこれ以上の借金をさせないために
親に借金癖がある場合、これ以上借金をさせないための予防策として「貸付自粛制度」を検討してみても良いのではないでしょうか。
貸付自粛制度とは、「日本貸金業協会」または「全国銀行個人信用情報センター」へ申告した場合、強制的に借入れを止めることのできる制度です。《期間は5年間》
対象者本人か法定代理人のみ申告可能で、依存症で本人や家族の生活に支障をきたすような借入をしないようサポートしてもらえます。
ただし、対象者(親)の配偶者または二親等内の親族は、次のような特殊な事情であれば、申告可能です。
- 対象者が行方不明または行方不明の理由が借金であること
- 対象者本人の生命や財産を守るため
- 対象者の同意が得られない
申告した場合、信用情報機関に貸付自粛情報が登録され、加盟する金融機関から一切の借入ができなくなります。
親の借金で困ったときは弁護士へ相談を
1.「最適な手続方法」で問題解決に導くことが可能
親の借金が発覚した際、法律のプロである弁護士に依頼することで、法的観点から冷静に状況を分析し、借金問題解決へと、円滑なサポートができるのではないでしょうか。
また、親の負債がどの程度あるのか調査したり、残したい財産を守りながら、親の借金の肩代わりを防ぐ方法など、依頼者の希望に添った解決方法を提案してもらうことも可能です。
さらに、必要であれば、任意整理・個人再生・自己破産といった「債務整理」をはじめとする借金問題全般の相談や代理を請け負えるといったメリットもあります。
特に、借金問題を強みにしている法律事務所では、豊富な経験と相談実績を持っており、依頼者にとって心強い存在になってくれるのではないでしょうか。
2. 書類作成や手続を代行してもらえる
親の借金の肩代わりを防ぐ解決策としてご紹介した、相続放棄・限定承認・自己破産ともに、法的ノウハウを要する書類作成や煩雑な手続をすべて任せることが可能です。
また、弁護士に依頼することで、書類不足・記載ミスが原因の手続の遅滞による長期化を防ぎ、スムーズな問題解決はもちろん、精神面や時間・費用の負担を軽減することにも繋がります。
加えて、弁護士は、対応可能な法的業務や扱える金額、裁判手続の制限なく行えることから、やり取りの二度手間を防げるだけでなく、依頼費用も最小限に抑えることができるのではないでしょうか。
3. 必要な場合、裁判を請け負える|債権者の取り立てのやり取りや交渉をする必要がなくなる
弁護士は、自己破産をはじめとした裁判所を通す手続や債権者(借金をしている業者)から不利な条件を提示されたり、裁判に持ち込まれた場合でも、制限なく代理を請け負ってもらうことが可能です。
迅速で速やかな示談交渉力のある弁護士であれば、債務者(借金を負った人)の生活を取り戻すための大きな一助となるのではないでしょうか。
重ねて、弁護士に債務整理を依頼した場合、各債務者に対し、法的強制力のある「受任通知(介入通知)」を発送します。
債権者は、連絡窓口代わりである弁護士とやり取りする必要性が生じるため、債務者は電話や書類、直接の取り立てなどを受けなくなるのです。
弁護士が債権者との連絡窓口代わりとなる他、手続きのほとんどを代行してもらえるため、家族や親戚、職場の方など周囲に知られるリスクを防げます。
まとめ
ここまで、親の借金に関する子供の返済義務や借金の調べ方、親の借金問題の対処法、解決策について解説しました。
親の借金問題はご家族にとって大きな課題であり、自らの責任であると一人で抱え込んでしまう方も少なくありません。
そのため、原則子どもに親の借金の返済義務はなく、返済義務を負うような条件に該当していないにも関わらず、貸金業者に取り立てられてしまうことが多いのも現実です。
前提として、債務者(借金を負った人)の子どもであっても返済義務のない者に、貸金業者が取り立て行為を行うことは、法律で禁止されています。
弁護士に相談することで、迅速な解決へと繋がることはもちろん、悩みの種である借金に関して相談したり、問題解決を一任できる相手がいることで、精神面の負担を軽減することにも繋がるのではないでしょうか。
借金問題の解決には、煩雑手続や専門知識を要することはもちろん、一人で解決するには手間や精神面で困難なこともあります。
この記事が、親の借金問題について、弁護士に依頼するか判断を決めかねている方や親の借金問題を抱えてお困りの方の一助となれば幸いです。
※こちらの記事は、2023年7月31日時点の情報です。