債務整理(任意整理・個人再生・自己破産・過払金)
【2023年最新版】妻の借金問題解決のための条件と対処法を徹底解説!夫の返済義務はどうなる?
妻が借金を抱えていたと発覚した場合、冷静な判断が下せなくなってしまう方も少なくありません。どんなに高額な借金であっても、借金問題を解決できる可能性は十分あります。本記事では、妻の借金問題のいくつかのケースと対処法、借金問題の解決方法について解説していきます。この記事が、借金問題を抱えてお困りの方の一助となれば幸いです。
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妻が借金を抱えていたと発覚した場合、ショックを受け、冷静な判断が下せなくなってしまう方も少なくありません。
「配偶者である自分(夫)にも支払義務は生じるのか?」「借金問題の解決方法はないのか?」など、次々と尽きない悩みが湧いてきてしまいます。
しかし、一旦冷静になり借金状況を把握し、スムーズな問題解決へ向け、適切に対応していくことが重要です。
どんなに高額な借金であっても、状況に即した手続きを選択することで、借金問題を解決できる可能性は十分あることを忘れないでください。
本記事では、妻の借金問題のさまざまなケースとその対処法、借金問題の解決方法について分かりやすく解説していきます。
この記事が、弁護士に依頼するか判断を決めかねている方や借金問題を抱えて誰にも相談できずお困りの方の一助となれば幸いです。
妻の借金問題と夫の返済義務
妻の借金問題は、生計をともにする夫婦の生活にも影響を及ぼす重要な課題であるため、配偶者の返済義務の有無について、気になる方も多いのではないでしょうか。
結論として、基本的には借金の返済義務は、契約者本人(妻)にあります。
しかし、借金の状況により、夫婦双方に返済義務が生じる場合があるのです。
それでは、妻の借金で夫に返済義務が生じるケースについて、詳しくご説明していきます。
1. 妻の借金が日常家事債務の場合
妻の借金が「日常家事債務」に該当する場合、夫にも返済義務が生じます。
「日常家事債務」とは、夫婦が共同生活を送る上で必要な範囲で負担する債務のことを指します。
例えば、夫婦が使用する電化製品や家具をはじめ、生活費、子どもの教育費(教育ローンなど)の不足を補うために借金をした場合には、日常家事債務に該当します。
夫婦で生活を営む上で借金をした場合、夫婦の共同の責任として考える必要があり、夫にも返済義務が生じる可能性が高いです。
日常家事債務の範囲は、慮した現実的な生活状態により、判断されます。
- 夫婦の職業や社会的地位
- 経済状況(資産・収入)
- 購入品目とその価格
ただし、ギャンブルや浪費、お金のかかる趣味などが原因で借金をした場合は、借金の理由が個人的なものであるため、夫が返済する義務はありません。
主に日常家事債務に該当する項目は次の通りです。
家具や家電の購入費 | 日用品の購入費 | 食費 |
電気・ガスなどの公共料金 | 家賃や住宅ローン | 医療費 |
生命保険料 | 子どもの教育費・養育費 | 適度な娯楽費 |
2. 妻の保証人または連帯保証人になっている場合
夫が妻の「保証人」または「連帯保証人」になっている場合、夫にも返済義務が生じます。
よって、妻が返済不能になった場合、夫が代わりに返済する必要があるのです。
しかし、原則として、妻が夫に断りなく保証人または連帯保証人に指定した場合は、夫は借金を返済する必要がありません。
ただし、免許証などの身分証明書や源泉徴収票、実印などの管理を妻に任せていたような場合には注意が必要です。
その理由に、近年の消費者金融のインターネット審査では、個人情報の簡易的な確認のみで借入が可能なことが挙げられます。
夫には知らせず、夫を保証人または連帯保証人にして借金を作ってしまった場合には、夫に返済義務が生じてしまうのです。
3. 妻が夫の名義を使用し借金している場合
妻が夫の名義を使用し借金することを承諾した場合、夫にも返済義務が生じます。
ただし、夫の名義を不正に使用し、借金することは不正行為です。
夫が名義の使用を承諾していなかった場合は、先ほどと同様に、原則として夫は借金を返済する必要がありません。
こちらのケースでも、免許証などの身分証明書や源泉徴収票、実印などの管理を妻に任せており、契約してしまった場合には、夫が妻の代理人と見なされます。
従って、夫にも返済義務が生じる可能性があるため、注意してください。
闇金融から借入していた場合に注意!
妻が「闇金融」から借金をしている場合、原則として、夫には返済義務がありません。
「闇金融」とは、国や都道府県への貸金業の登録の有無に関わらず、出資法の上限金利を超える金利で貸付を行う違法な金融業者を指します。
ただし、闇金の恐ろしい点は、借金の取り立てにあります。
深夜早朝問わず催促の電話が頻繁に鳴ったり、さまざまな嫌がらせ行為の被害を受けてしまうなど、精神的に追い詰められてしまうような状況に陥ってしまうのです。
また、債務者が借金が返せないことが判明したり、返済を延滞してしまうと、配偶者や家族、知人、会社に影響が出てしまうケースも多発しています。
万が一、闇金から借金をしてしまった場合は、法律のプロである弁護士に相談し、被害を根本から断ちましょう。
特に、闇金に強い法律事務所では、豊富な経験と相談実績を持っており、債務者にとって心強い存在になってくれるのではないでしょうか。
妻の借金が発覚したときの確認すべき項目
続いて、妻が借金問題に陥った際、スムーズな解決へ向けて、確認すべき項目をご紹介します。
下記項目と照らし合わせ、妻の借金問題をより的確に把握することで、解決への大きな一歩となるでしょう。
借金が発覚した際、感情的になることで、別の問題に発展することも考えられます。
まずは冷静になり、妻のサポート役に徹し、ひとつずつ確認していきましょう。
1. 借金の理由の把握
まずは、今後の解決策を考えていく上でも、「妻がなぜ借金をしたのか」を理解することが重要です。
妻の借金の背後にある原因を把握することで、妻に借金をやめてもらうことはもちろん、離婚するかどうかを検討する際の材料にもなります。
ギャンブルや浪費といった個人の娯楽が理由の借金ではなく、生活費や教育費などの必要経費不足により、借金をしてしまうケースが多い印象です。
借金の理由によっては、夫にも反省や協力の必要性があるのではないでしょうか。
妻を厳しく問い詰める前に、きちんと理解を示し、本当の理由を確認することが借金問題解決の近道です。
2. 借入状況の確認
続いて、妻の借金の「借入状況」を把握する必要があります。
妻の借金が発覚した場合、次の項目を確認しましょう。
- 借入先
- 借入日
- 借金の総額
- 借金残高
- 金利
また、内容漏れのないよう、借入先サイトのマイページや信用情報機関に情報開示請求をすることをおすすめします。
確認の際には、どの金融機関や消費者金融から借り入れされているのか、借入先を特定します。
その際、借入日や金利などの契約内容や借金総額・借金残高を確認しましょう。
借入状況を把握することで、将来の家計の見通しや具体的な返済計画を立てられます。
特に、借金の返済が難しい場合には、法的な借金問題解決手段である「債務整理」の手続を検討するのも一つの手ではないでしょうか。
債務整理については、後ほど詳しくご紹介します。
3. 返済状況の確認
妻の「借金の返済状況」も確認すべき項目の一つです。返済が滞っている場合には、借金問題がさらに悪化する可能性があります。
返済状況について、見落としのないよう次の点を確認しましょう。
- 月々の返済額
- 滞納の有無
- (滞納している場合、滞納額)
- 遅延損害金
- 督促内容
滞納の有無やそれ以外の項目について、不明点がある場合は、借入先サイトのマイページにて把握しましょう。
債権者からの督促の内容は、督促状などの書類でチェックできます。
万が一、妻が書類を捨ててしまったり、紛失した場合には、債権者に直接連絡して確認することが重要です。
裁判など法的措置が通達されていた際には、早急に弁護士に相談し、対処する必要があります。
重ねて、返済が困難な状況であれば、専門家である弁護士に適切な対処法についてアドバイスを仰ぎましょう。
4. 保証人または連帯保証人の確認
妻の借金に「保証人または連帯保証人」を設定しているか確認しましょう。
保証人または連帯保証人を設定している場合、その人物との関係や責任範囲を把握する必要があります。
債務者が返済不能となった場合、保証人または連帯保証人は、債務者の代わりに借金を返済する責任を負う必要があるのです。
そのため、返済を巡ってトラブルに発展する可能性があります。
借金の返済が難しい場合は、保証人との関係を十分に配慮し、早急に借金問題について話し合うことが大切です。
もし、相手方が保証人としての責任を果たすことが困難であれば、トラブルを防ぐ意味でも、早急に弁護士など専門家に相談しましょう。
5. 担保の確認
最後に、妻の借金に「担保」を設定しているか、その担保の種類や価値、担保権の範囲を確認しましょう。
妻の借金に担保が設定されている場合は、その担保の種類や価値を把握することが重要となります。
担保は借金の返済を保証するものです。債務者が返済できない場合、債権者が担保を売却処分し、売却額を借金から差し引く=差し押さえとなります。
ここで、注意すべき担保の一種である「自動車の所有権留保」と「住宅の抵当権」についてご紹介します。
担保の 名称 | 所有権留保 | 抵当権 |
内容 | 【代金が完済されるまで商品の所有権を債権者に残す担保権】 債務者が代金を支払わない場合、債権者が商品を売却処分することで、売却額を債権に回す=いわゆる差し押さえが可能な担保 | 【主に住宅や土地などの不動産関連に設定される担保権】 代金が完済されない場合、債権者が担保を競売にかけるなどにかけることで、売却額を債権に回す=いわゆる差し押さえが可能な担保 |
確認方法 | 最新の車検証の所有者欄で確認可能 (車検証が古い場合、運輸局で車検証を再発行することで、最新情報の取得可能) | 法務局で取得した登記事項証明書にて確認可能 |
妻の借金問題解決へ向けた債務整理について
先ほど、妻の借金問題解決へ向けた、法的な解決手段として「債務整理」という制度があるとご紹介しました。
「債務整理」とは、借金を減額したり、免除したりする制度を指します。
つまり、借金を負った人が生活を立て直すため、法の力を借り、借金問題の悩みを解決する方法のことです。
本記事における「債務」とは、主にローンや借金などを負った人=お金の借主(債務者)が金銭の支払いを求める人=お金の貸主(債権者)に対して金銭を返さなければならない(給付)義務を意味します。
ちなみに、債務整理を弁護士に依頼することで、「受任通知(介入通知)」という法律上の強制力を持つ書類を債権者へ通達可能です。
受任通知を送った場合、弁護士が債権者との連絡窓口代わりとなるため、債務者が直接債権者の取り立てを受けなくなります。
そのため、精神面や時間の負担を軽減できるメリットがあります。
債務整理できない債権とは?
債務整理をするにあたって、支払い義務が残る債権「非免責債権」があります。
非免責債権は、債務整理のどの手続においても支払わなければなりません。
具体的には、次のようなものを指します。
- 租税〈固定資産税や住民税、所得税、住民税、贈与税、相続税、自動車税、国民健康保険税、国民年金保険料〉、一部の水道代(下水道利用料金)など
- 罰金〈交通違反など〉
- 損害賠償《故意または重過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づくもの》《悪意で加えた不法行為に基づく》
- 破産者が扶養義務者として負担すべき費用〈養育費・教育費など〉
特に、妻が損害賠償や養育費・教育費請求を抱えているにも関わらず、支払いが滞ったり、支払い拒否した場合、債権者に訴訟を起こされる可能性もあるのでご注意ください。
債務整理の種類
先ほど、借金問題解決手段に「債務整理」という方法がある、とご紹介しました。
債務整理の中でも、借金の額や返済の仕方により、解決に適した手段が異なるのです。
債務整理の手段には、次のような種類があります。
任意整理
個人再生
自己破産
それでは、債務整理の種類について、一つずつご紹介していきます。
1. 任意整理による解決
まず、ご紹介するのは「任意整理」です。
任意再生とは、「借金を負った人(債務者)が無理なく返済できるよう、借金をしている業者(債権者)に対し、将来金利のカットや3〜5年の長期分割払いにしてもらうことで、返済額を引き下げる手続」を指します。
「将来利息」とは、現時点で残っている借金(債務)に対し、完済するまで支払い続ける予定の利息=利子を指します。
任意整理は、弁護士や司法書士のみが介入する、裁判所を通さない、あくまで私的な任意の手続です。
従って、任意整理を成立させるには、債権者の合意が必要になります。
妻の借金問題を解決するには、債権者の合意が得られるよう、専門家のアドバイスを仰ぎながら、適切な返済計画を立てることが大切です。
具体的な返済基準は、借金の元金を36回(3年)または 60回(5年)で割った額が毎月支払えるかどうかで判断されます。
つまり、任意整理をするためには「妻に月々決まった額を返済できる安定した収入」があることが必要条件です。
ただし、次のようなケースでは、任意整理が認められない場合もあるため、ご注意ください。
- 既に給料が差し押さえられてる
- 3〜5年の期間で完済できる見込みがない
- 借り入れから任意整理を決断するまでの期間が短い
2. 個人再生による解決
続いてご紹介するのは「個人再生」です。
「個人再生」とは、「裁判所を通し、借金(債務)を大幅に減額することを認めてもらい、3〜5年の長期分割払いにする手続」を指します。
借金の額が大きく、任意整理では難しい際も「一定の要件を満たした場合、ローン返済中のマイホームを手放す必要がない」というのが大きな特徴です。
さらに、借金の理由を問わない手続のため、妻の借金がギャンブルや浪費などが原因であっても、原則「個人再生」を行えます。
裁判所に借金の減額を認めてもらうためには、完済までの返済金額や支払方法をまとめた「再生計画案」を作成し、債権者集会で決議した後、裁判所に認可してもらう必要があります。
個人再生における返済方法は【原則3年(最長5年)の分割払い】です。
そのため、個人再生をする場合には、「妻に毎月返済額を支払える安定した収入があること」が重要です。
加えて、妻の借金を個人再生する場合には、次の条件を満たしている必要があります。
条件 | 具体的な内容 |
① 借金を3~5年の期間で返済できる安定した収入がある | ・債権者と和解に至った返済金額を捻出可能である。 ・正社員だけでなく、パート・アルバイトの収入でも可能。 ・期間限定や短期間でのアルバイトを繰り返しているような場合には、認められない可能性がある。 |
② 住宅ローン以外の借金を減額したい人でその借金が5,000万円以下の人 | ・住宅ローン以外の借金が5,000万円を超える場合 「一般民事再生手続」の対象となる。 |
③ 給与またはこれに該当する定期的な収入の見込みがあり、その変動幅が少ない | ・債権者と和解に至った返済金額を滞りなく返済するための基準。 ・変動の幅は、年収換算で20%を超えるかどうかで判断される。 |
★④ 過去7年間に免責・再生計画の認可決定・ハードシップ免責を受けていない | ・2回目の申し立てをする場合、原則7年間「給与所得者等再生」ができない。 ・小規模個人再生の場合は、期間の制限はない。 |
「ハードシップ免責」とは、病気やケガ、リストラをはじめとする特別な理由により返済が難しい場合に、残りの借金をすべて免除される制度です。
「小規模個人再生」とは、将来継続的に収入を得る見込みのある個人債務者を対象とする個人再生の手続の一種を指します。
3. 自己破産による解決
最後にご紹介するのは「自己破産」です。
「自己破産」とは、「財産がないことで、借金(債務)が全く返済できない場合、裁判所を通し、借金(債務)の全額免除を認めてもらう手続」を指します。
こちらの手続において、裁判所で「免責決定」の判断が下された場合、税金や養育費などの「非免責債権」を除くすべての債務が免除されるのです。
判断をするにあたって、申し立てた人=妻の収入や借金の額、借金理由が考慮されます。
借金返済の目処がたたなかったり、生活保護受給中であったりするなど、今ある生活を送るのに精一杯の収入である場合などに適したシステムです。
自己破産では、原則的に、借金を負った人(債務者)が所有する財産をお金に換えることで、借金をしている業者(債権者)に配当します。
借金の心配をなくし、生活費を確保できるなど、これからの人生を前向きなものにできる点がメリットではないでしょうか。
重ねて、全ての財産を取り上げられるのではなく、裁判所が定める基準の財産(20万円以下の預金や年式の古い自動車など)は手元に残せるのが利点です。
ただし、先ほどご紹介した「非免責債権」に加え、妻の借金の理由が「免責不許可事由」に該当する場合、自己破産は認められません。
「免責不許可事由」とは、自己破産による免責が認められないケース=借金の帳消しが認められない理由のことです。
具体的には、ギャンブルや浪費、お金のかかる趣味、ホスト・キャバクラなどを指します。
よって、今後の解決策を考えていく上でも、妻の借金理由について、しっかりと把握することが必要です。
債務整理は弁護士へ相談しましょう
債務整理は、弁護士または司法書士に依頼可能です。
ただし、司法書士が請け負う場合、次のような規定が設けられています。
- 借金(債務)の元金が140万円以下《利息・遅延延滞金を含まない》の任意整理のみ
- 任意整理を依頼できるのは、法務省の認定を受けた認定司法書士のみ
- 「過払金返還請求」ができない
- 裁判所を通す「個人再生」や「自己破産」の申立代理人の依頼不可。書類作成代理人のみ
一方で、弁護士には、債務整理で対応可能な業務・債権額・裁判手続の制限はありません。
そのため、いくつか種類のある債務整理の中から「最適な債務整理の方法」で問題解決に導くことが可能です。《債務整理の種類に関しては、次の章で詳しくご紹介します。》
弁護士が代理人となることで、独自のノウハウを要する「必要書類の作成」の代行や「債権者との交渉」などを請け負ってもらえるメリットがあります。
1. 「最適な債務整理の方法」で問題解決に導くことが可能
弁護士には、債務整理で対応可能な業務・債権額の制限がないため、法的観点から冷静に状況を分析し、最適な解決方法を提案してもらうことが可能です。
特に、債務整理を強みにしている法律事務所では、豊富な経験と相談実績を持っており、債務者にとって心強い存在になってくれるのではないでしょうか。
弁護士からのアドバイスを受けることで、迅速かつ効果的な対応が可能となります。
2. 債務者が直接債権者の取り立てのやり取りや交渉をする必要がなくなる
弁護士に債務整理を依頼した場合、各債務者へ、法的強制力のある「受任通知(介入通知)」を発送します。
債権者は、連絡窓口代わりである弁護士とやり取りする必要性が生じるため、債務者は電話や書類、直接の取り立てなどを受けなくなります。
また、債務者と交渉する場合、迅速で速やかな示談交渉力のある弁護士が手続を行うことで、円滑に物事を進められるでしょう。
3. 書類作成や手続を代行してもらえる
債務整理をする場合、その手続には、面倒で多くの資料が必要な書類作成作業が必要です。
弁護士に一任することで、スムーズな問題解決や精神面や時間・費用の負担を軽減することにも繋がるのではないでしょうか。
妻の借金問題を防ぐための対策
妻の借金問題が発覚した際、借金をこれ以上増やさないために、予防策を講じることが重要です。
ここでは、借金トラブルを未然に防ぐための具体的な予防策について詳細に解説します。
1. 家計管理の見直しと改善
まずは、過去の借金問題に対する反省と学びを踏まえ、家族の協力を得て、今後の家計管理や消費行動について見直しましょう。
妻に浪費癖がある場合や家計の管理が苦手という場合は、夫が家計を管理することも視野に入れてください。
妻とのコミュニケーションを通じて、家計管理の見直しと改善、予算の立て方を改善することで、妻の借金問題を解決する一助となります。
毎月の収入と支出を把握することで、減らせる部分の支出を減らし、借金をしないような生活スタイルを心掛けることも重要なステップです。
追加の借金を防ぐためには、無駄使いをしないということはもちろん、クレジットカードの利用を制限することも検討してみてください。
将来の目標を設定し、具体的な計画を立てることで、再出発に向けた意欲を高めることができるのではないでしょうか。
2. 借金を予防するためのコミュニケーションを絶やさない
夫婦の間での円滑なコミュニケーションは、妻の借金を予防するのに大きな影響を与えます。
お互いの金銭面の考え方や価値観を共有し、将来の目標や計画を夫婦で話し合うというのが重要です。
定期的な家計の話し合いや相談の場を持つことで、借金トラブルを防止するだけでなく、夫婦の絆や信頼関係を深めることにも結びついているのではないでしょうか。
妻の借金問題に直面した夫は、非難や責任転嫁を行うのではなく、冷静に状況を把握し、共感を示すとともに、寄り添うよう努めることが大切です。
妻が借金問題で苦しんでいることを理解し、一緒に乗り越えようとする姿勢が、夫婦の信頼関係を築く大きな一歩となります。
3. 妻が依存症に陥っている場合は、専門機関へ相談を
依存症は治療を要する病気で、ギャンブルや浪費などを理由に借金せずにはいられない状態を指します。
万が一、妻が依存症に陥っている場合、本人の努力や意思でコントロールするのは簡単ではありません。
そのため、家族や周囲に助けを求めることはもちろん、専門機関に相談し、依存症治療を行うことで、問題を根本から絶つ必要があるのです。
依存症を放置した場合、依存対象を手に入れるため、違法な闇金・サラ金に手を出してしまうなど、借金問題はさらに深刻な状況になってしまいます。
さらに、次のような弊害を伴うリスクが非常に高いため、注意が必要です。
- 失職
- 家庭崩壊
- うつ病
- 睡眠障害
- 食欲不信
- 虐待
- 薬物使用
- 自殺
- 犯罪行為
少しでも依存症に近い症状が見られた場合は、躊躇わずに専門機関へ相談することをおすすめします。
依存症は適切な治療を受けることで完治できる病気です。家族や信頼できる人物の協力を得て、早期発見・早期治療を心がけましょう。
4. 貸付自粛制度の申請も視野に
「貸付自粛制度」とは、「日本貸金業協会」または「全国銀行個人信用情報センター」へ申告した場合、強制的に借入れを止めることのできる制度です。《期間は5年間》
対象者本人か法定代理人のみ申告可能で、依存症で本人や家族の生活に支障をきたすような借入をしないようサポートしてもらえます。
ただし、対象者の配偶者または二親等内の親族は、次のような特殊な事情であれば、申告可能です。
- 対象者が行方不明または行方不明の理由が借金であること
- 対象者本人の生命や財産を守るため
- 対象者の同意が得られない
申告した場合、信用情報機関に貸付自粛情報が登録され、加盟する金融機関から一切の借入ができなくなります。
信用情報とは、個人や法人が金融機関やクレジットカード会社などから融資を受ける際に関わる情報のことです。
日本における、主要な信用情報機関は次の3つです。
名前 | 加盟期間 |
全国銀行個人信用情報センター(KSG) | 銀行・信用金庫・信用保証協会など |
株式会社シー・アイ・シー(CIC) | クレジットカード会社 |
株式会社日本信用情報機構(JICC) | 消費者金融 |
ただし、友人や知人など個人同士の借金であったり、闇金・サラ金からの借金は対象外となります。
夫や家族など、身近な人間がサポートを行うことも重要です。
妻の借金と離婚問題について
ここまで、法的な借金問題解決手段である「債務整理」や「借金問題を大きくしないための対策」についてご紹介しました。
前提として、借金の原因が妻にあったとしても、離婚せず結婚生活を続けるというのも一つの選択肢です。
しかし、「目に見えない夫婦の溝が埋まらない場合」や「何度も借金を重ねてしまい婚姻生活を送るのが難しい場合」などの理由で、離婚も視野に入れる方も少なくありません。
こちらの章では、妻の借金と離婚問題について解説します。
借金を理由にした離婚は可能か?
結論として、借金を理由に離婚することは可能です。
しかしながら、選択する離婚方法や相手の合意次第で、その難易度が異なります。
離婚する方法は次の3種類です。
- 協議離婚
- 調停離婚
- 離婚裁判
基本的に、【協議離婚→調停離婚→離婚裁判】と言葉の意味が強まるほどに、難易度が上がります。
それでは、各離婚方法についてご紹介します。
名称 | 協議離婚 | 調停離婚 | 離婚裁判 |
難易度 | 比較的簡単 | 協議離婚より難易 | 裁判となるため最も難解 |
合意方法 | 双方の合意 | 家庭裁判・調停委員の意向次第 | 裁判 |
相手の合意 | 相手が応じない場合は離婚できない | 相手が応じない場合は離婚できない | 証拠次第で離婚が認められない |
条件 | 離婚理由は問わない | 離婚理由は問わない | 離婚に至る証拠が必要 |
離婚方法について
1. 協議離婚
「協議離婚」は、夫婦の話し合いのみで離婚する方法のことです。
裁判所を通さない簡易な手続のため、時間や費用の負担が最小限であることがメリットです。
双方の合意に至った場合、市区町村に離婚届を提出するだけで、手続が完了します。
離婚理由は問わないため、妻の借金が理由であっても離婚は可能です。
重ねて、離婚条件を自由に定められるため、双方合意の元、相場より高い養育費に制定することも可能となります。
しかし、どちらかが離婚を拒否し、合意に至らなかった場合、離婚ができません。
その結果、次のフェーズである協議離婚へ移行することになります。
2. 調停離婚
「調停離婚」とは、家庭裁判所で調停委員を介し、離婚する方法のことです。
調停委員は、調停期日(月1回の話し合いを複数回)に、夫婦別々に話を聞き、妥協点を探していきます。
夫婦が顔を合わせたり、鉢合わせすることのないよう、時間や待機場所に十分な配慮がなされています。
ヒアリングをするにあたって、書面や証拠の提出が求められる場合があるため、あらかじめ準備しておくことが重要です。
双方の合意に至った場合、調停成立=離婚成立となり、調停調書が作成されます。
この調書は、成立日より10日以内に、離婚届と共に、市区町村役場に提出することを忘れないよう注意してください。
調停離婚の場合も、夫婦の合意に至らなかった場合、離婚成立にはなりません。
決着がつかなければ、最終フェーズである離婚裁判へ移行することになります。
3. 離婚裁判
「離婚裁判」とは、文字通り、家庭裁判所において裁判により離婚する方法のことです。
離婚裁判では、離婚するか否かだけでなく、次のような内容についても訴訟を起こすことが可能となります。
- (未成年の子どもがいる場合)離婚後の親権者について
- 財産分与
- 年金分割
- 子どもの養育費・教育費
- 離婚に伴う慰謝料
離婚裁判を起こす場合、「法的離婚事由」に該当する理由であることに加え、その理由を証明する証拠が必要不可欠です。
法的離婚事由とは、主に次のような理由を指します。
- 配偶者の不貞行為があったとき
- 配偶者が正当な理由がないにも関わらず、婚姻生活を悪意のもって遺棄されたとき
- 配偶者が3年以上生死が明らかでないこと
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復が見込めないとき
- その他婚姻を継続しがたい重大な理由(DV・モラハラ、性格の不一致・価値観の相違・性の不一致、浪費や借金問題、アルコールまたは薬物依存、行き過ぎた宗教活動、犯罪行為による服役、家事・育児放棄など)
上記のような離婚理由に該当する場合、離婚できる可能性が高いです。
ただし、あくまで法的効力のある手続のため、裁判官による判決に強制的に従う必要があります。
離婚時の親権や慰謝料、養育費、財産分与は?
親権や慰謝料などの問題は離婚と切っても切り離せない関係です。
借金問題が離婚に影響を与える場合、これらの要素も考慮し、解決策や妥協点を見つけていく必要があります。
離婚時に関連する事項の取り決めについては、専門家や弁護士のアドバイスを受けながら、適切な解決策を模索していくことが重要です。
離婚時の親権について
離婚の理由を問わず「親権」は、妻に有利な可能性が高いです。
その理由に、多くの家庭で、妻が主体となり子育てを行っているという実情が挙げられます。
親権を決める際には、子どもの最善の利益を考慮し、適切な合意や裁判所の判断が求められます。
夫が親権を獲得するためには、日頃から積極的に子育てに携わることはもちろん、離婚後の養育環境を整えておきましょう。
親権は、子どもが15歳以上になると、自らの意思に基づき、親権者を選択できるようになります。
離婚の際に親権を獲得できなかった場合でも、15歳に成長した子どもの意思により、親権者を変更できる可能性もあるので、ご安心ください。
離婚時の養育費の支払い義務について
「養育費」は子どもを育てる上で欠かせないお金です。
一般的には、子どもが経済的かつ社会的に自立するまでに要する費用を指し、衣食住に必要な経費をはじめ、教育費や医療費などがこれに該当します。
離婚の理由を問わず、親権者に指定されたのが妻である場合、夫に養育費の支払い義務があるのです。
養育費を決める際には、基本的に裁判所が公表する「養育費算定表」の金額を目安とします。
「養育費算定表」とは、子どもの年齢・人数、両親の年収に応じた養育費の金額の目安が掲載されたものです。
たとえ、妻の借金が理由で離婚に至った場合でも、子どもが健全に成長するために、養育費はきちんと支払いましょう。
離婚時の慰謝料について
妻の借金問題による経済的な損失や精神的な苦痛を考慮し、慰謝料を請求できる可能性があります。
しかし、本記事における離婚理由である「借金問題」を抱えている妻から慰謝料を回収することは、現実的に困難と言えるでしょう。
しかしながら、先程もご紹介した通り、養育費は子どもが暮らしていくために必要不可欠なお金です。
子どもの健やかな成長をサポートするためにも、支払い義務を全うする責任があります。
双方が納得できる形で離婚問題を解決するため、離婚裁判になる前に、離婚協議または離婚調停で妥協点を見つけることが大切です。
離婚時の財産分与について
「財産分与」とは、結婚後から夫婦ともに築いた財産を離婚する際に、名義に関わらず、清算・分配することを指します。
分割割合は、離婚時の話し合いやこれまでの貢献度によって判断されますが、基本的には「2分の1ずつ」に分けることがほとんどです。
しかしながら、双方の合意次第で、財産を分与する割合は自由に選択できます。
財産分与は、離婚理由を問わず、清算・分配に応じる必要があるため、ご注意ください。
ただし、「特有財産」という、独身時代から所有していたものや相続・贈与により取得したものは対象外です。
ちなみに、先ほど貢献度について少し触れましたが、夫が倹約していたにも関わらず、妻が浪費などが原因の借金を作ってしまった場合では、夫側が財産を多く取得する正当性が認められます。
適正な財産分与について、法律のプロである弁護士に相談することをおすすめします。
まとめ
ここまで、妻の借金問題のさまざまなケースとその対処法、借金問題の解決方法について解説しました。
妻の借金問題は夫婦の共同の課題であり、乗り越えるためには自らの行動を見つめ直し、適切な対処策を講じることが重要です。
借金問題の解決には、複雑な手続や専門知識を要するため、一人で解決するには困難なこともあります。
家族や周囲の人間のサポートはもちろん、専門家のアドバイスを活用することが有効です。
適切な債務整理や返済計画を立てることで、問題解決に向けた一歩を踏み出すことができ、家庭の安定を取り戻すことにもつながるのではないでしょうか。
この記事が、弁護士に依頼するか判断を決めかねている方や借金問題を抱えて誰にも相談できずお困りの方の一助となれば幸いです。
※こちらの記事は、2023年7月20日時点の情報です。