債務整理(任意整理・個人再生・自己破産・過払金)
債務整理後に引っ越しは可能?賃貸契約の審査に通る?その影響と回避策を弁護士が徹底解説
【弁護士監修】債務整理後でも引っ越し・賃貸契約は可能です。信用情報の影響で審査が不安な方へ、保証会社の種類による違い、連帯保証人の重要性、そして審査通過のコツを徹底解説。新生活を安心してスタートさせるための全知識を提供する安心ガイドです。

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借金問題に苦しみ、債務整理という道を選んだ方にとって、その後の生活再建は大きな課題です。特に「引っ越し」を考えている場合、「賃貸契約の審査に通るのか?」「債務整理が影響するのでは?」といった不安は尽きないでしょう。
債務整理は、あなたの経済的な再スタートを助ける強力な手段ですが、信用情報に影響を与えるため、特定の契約において審査が厳しくなることがあります。しかし、正しい知識と適切な対策を知っていれば、債務整理後であっても希望する引っ越しを実現することは十分に可能です。
本記事では、債務整理が賃貸契約に与える影響から、審査に通るための具体的な回避策、そして物件選びのポイントまで、最新の情報を踏まえながら弁護士が徹底的に解説します。債務整理後の新たな生活を安心してスタートさせるための一助となれば幸いです。

1. 債務整理が信用情報に与える影響と賃貸契約の基礎知識
まず、債務整理が賃貸契約の審査にどのように影響するのかを理解するために、信用情報と賃貸契約の基礎知識を確認しておきましょう。
1.1 債務整理と「ブラックリスト」
債務整理(任意整理、自己破産、個人再生)を行うと、その事実は信用情報機関に登録されます。これが一般的に「ブラックリストに載る」と言われる状態です。
信用情報機関は、個人のローンやクレジットカードの利用履歴、返済状況などを記録・管理している機関です。主な信用情報機関は以下の3つです。
- CIC(株式会社シー・アイ・シー): 主にクレジットカード会社、信販会社
- JICC(株式会社日本信用情報機構): 主に消費者金融
- KSC(全国銀行個人信用情報センター): 主に銀行
債務整理の情報は、これらの信用情報機関に約5年〜10年間登録されます(債務整理の種類や信用情報機関によって期間は異なります)。この期間中、金融機関はあなたの信用情報を参照し、以下のような契約の審査に通らない可能性が高くなります。
- クレジットカードの新規作成や更新
- 各種ローンの借り入れ(住宅ローン、自動車ローン、教育ローンなど)
- 携帯電話端末の分割購入(一部ケース)
1.2 賃貸契約の審査と「保証会社」
賃貸契約を結ぶ際、大家さんや不動産会社は、借り主が安定して家賃を支払えるかどうかを審査します。この審査において、近年では「家賃保証会社(賃貸保証会社)」の利用が一般的になっています。
家賃保証会社とは、借り主が家賃を滞納した場合に、借り主に代わって大家さんに家賃を立て替え払いする会社です。これにより、大家さんは家賃滞納のリスクを回避できます。借り主は、保証会社に保証料を支払ってサービスを利用します。
この家賃保証会社が、賃貸契約の審査において重要な役割を果たします。保証会社には、大きく分けて以下の3種類があります。
保証会社の種類 | 概要 | 信用情報との関連 | 審査の厳しさ |
---|---|---|---|
信販系保証会社 | クレジットカード会社や信販会社の子会社、または関連会社。 | 信用情報機関(CIC、JICCなど)と提携しており、借り主の信用情報を照会する。 | 厳しめ(債務整理の情報があると審査通過が難しい) |
独立系保証会社 | 信用情報機関とは提携していない、独自の審査基準を持つ保証会社。 | 信用情報を照会しないため、債務整理の履歴があっても影響しにくい。 | 比較的緩やか |
LICC系保証会社 | 全国賃貸保証業協会(LICC)に加盟している保証会社。LICC独自のデータベースで情報を共有。 | LICC加盟会社内での滞納履歴などは共有されるが、信用情報機関のブラックリストとは直接連動しない。 | 中間的(滞納履歴がない限り影響は少ない) |
**賃貸契約の審査で債務整理の影響を受けるのは、主に「信販系保証会社」を利用する場合です。**なぜなら、信販系保証会社は信用情報機関の情報を参照するため、あなたの債務整理の情報が登録されていれば、審査に通らない可能性が高まるからです。
2. 債務整理の種類と賃貸契約への影響
債務整理の種類によって、信用情報への登録期間や、その後の賃貸契約への影響度が異なります。
債務整理の種類 | 信用情報機関への登録期間(目安) | 賃貸契約への影響 |
---|---|---|
任意整理 | 約5年 | 期間中、信販系保証会社の審査は厳しくなる。独立系・LICC系であれば比較的影響は少ない。 |
自己破産 | 約5年〜10年 | 期間中、信販系保証会社の審査は非常に厳しくなる。独立系・LICC系であれば比較的影響は少ない。 |
個人再生 | 約5年〜10年 | 期間中、信販系保証会社の審査は非常に厳しくなる。独立系・LICC系であれば比較的影響は少ない。 |
重要なポイント: 信用情報機関に情報が登録されている期間中でも、**信販系保証会社以外を利用すれば、賃貸契約を結べる可能性は十分にあります。**また、信用情報機関への登録期間が過ぎれば、債務整理の履歴は抹消され、信販系保証会社の審査も通りやすくなります。
3. 債務整理後に賃貸契約の審査に通るための回避策
債務整理後であっても、引っ越しや賃貸契約は可能です。以下の回避策を実践することで、審査に通る可能性を大幅に高めることができます。
3.1 信用情報機関に登録されない保証会社を選ぶ
これが最も効果的な回避策です。不動産会社に相談する際に、**「信販系ではない保証会社を利用したい」**旨を明確に伝えましょう。
- 独立系保証会社: 信用情報を照会しないため、債務整理の履歴があっても影響を受けにくいです。
- LICC系保証会社: 信用情報機関とは直接連動しないため、滞納履歴がない限り審査に通る可能性があります。
ただし、これらの保証会社を利用できる物件は限られる場合があるため、複数の不動産会社に相談し、希望を伝えることが重要です。
3.2 保証会社の利用が不要な物件を探す
一部の物件では、保証会社の利用が必須ではなく、連帯保証人のみを立てれば良い場合があります。親族などに安定した収入があり、連帯保証人になってもらえるのであれば、この選択肢を検討しましょう。 また、UR賃貸住宅(独立行政法人都市再生機構)は、保証人も保証会社も不要で、敷金のみで入居できるため、債務整理後の方にとって有力な選択肢となります。UR賃貸住宅は、礼金や仲介手数料も不要な場合が多く、初期費用を抑えられるメリットもあります。
3.3 預貯金を多めに用意する
家賃の数ヶ月分(3〜6ヶ月分程度)の預貯金があることをアピールすることで、大家さんや不動産会社に「家賃を支払う能力がある」と判断してもらいやすくなります。特に、独立系保証会社や連帯保証人のみで契約できる物件の場合に有効です。
3.4 安定した収入を確保する
何よりも重要なのは、安定した収入があることです。正規雇用で勤続年数が長いほど、審査に通りやすくなります。もし、債務整理後に転職や再就職を考えている場合は、できるだけ早く安定した職に就くことを目指しましょう。
3.5 借り主に有利な物件を探す
- 大家さんが直接管理している物件: 管理会社を挟まず、大家さんが直接借り主を募集している物件は、保証会社の利用が不要だったり、審査基準が緩やかだったりする場合があります。
- 築年数が古い、駅から遠いなど、人気が低い物件: これらの物件は借り手が見つかりにくいため、審査が比較的緩やかな傾向があります。
- UR賃貸住宅: 前述の通り、保証会社や保証人が不要で、審査基準も一般的な賃貸より緩やかです。
3.6 不動産会社に正直に相談する
債務整理の事実を隠して賃貸契約を結ぼうとすると、後から発覚した場合にトラブルになる可能性があります。正直に債務整理をしたことと、現在安定した収入があることを伝え、信販系以外の保証会社を利用したい旨を相談しましょう。良心的な不動産会社であれば、あなたの状況に合った物件や保証会社を探す手助けをしてくれます。

4. 賃貸契約の審査を通過するための具体的な物件選びのポイント
上記の回避策を踏まえて、実際に賃貸物件を探す際の具体的なポイントをまとめました。
ポイント | 詳細 |
---|---|
保証会社の種類を最初に確認 | 不動産会社に問い合わせる際、または物件情報を見る際に、**どの保証会社を利用するのかを必ず確認しましょう。**信販系保証会社の場合は、別の物件を探すか、保証会社が選べるかを確認します。 |
家賃を無理のない範囲に設定 | 手取り収入の3分の1以内が目安と言われています。家賃が収入に見合っていないと、審査に通らないだけでなく、入居後の生活も苦しくなります。 |
敷金・礼金ゼロの物件も検討 | 初期費用を抑えることで、生活資金を確保しやすくなります。ただし、退去時に別途清掃費用などがかかる場合もあるので注意が必要です。 |
複数社の不動産会社に相談 | 一社だけでなく、複数の不動産会社に相談することで、より多くの選択肢や、あなたの状況を理解してくれる担当者に出会える可能性が高まります。 |
現在の居住状況に不満がないなら焦らない | 信用情報機関の登録期間(5年〜10年)が終了すれば、賃貸契約の選択肢は大きく広がります。もし現在の住まいに大きな不満がないのであれば、期間終了を待つというのも一つの手です。 |
5. 債務整理は弁護士に依頼すべき!その後の生活再建をサポートするメリット
債務整理後の引っ越しは、信用情報の影響があるため、個人で進めるには不安が伴うかもしれません。しかし、債務整理を弁護士に依頼することで、その後の生活再建に関するアドバイスも含め、多角的なサポートを受けることができます。
5.1 債務整理の最適な選択と迅速な手続き
弁護士は、あなたの借金の状況を正確に把握し、**最適な債務整理方法を提案してくれます。**無駄なく迅速に手続きを進めることで、信用情報機関への登録期間を無駄に長引かせることなく、早期の生活再建をサポートします。
5.2 信用情報に関する正確な知識とアドバイス
弁護士は、信用情報機関の仕組みや、債務整理が信用情報に与える影響について正確な知識を持っています。賃貸契約の審査に不安がある場合も、「どの保証会社なら審査が通りやすいか」「いつ頃から審査が通りやすくなるか」など、具体的なアドバイスを提供してくれます。
5.3 賃貸契約に関する相談も可能
多くの弁護士事務所では、債務整理後の生活再建に関する相談も受け付けています。賃貸契約の審査に関する疑問や不安があれば、**弁護士に直接相談し、適切なアドバイスを受けることができます。**不動産会社との交渉における注意点なども教えてもらえるでしょう。
5.4 精神的な負担の軽減
債務整理後の生活再建は、様々な不安やストレスが伴います。しかし、弁護士という専門家があなたの味方としてサポートしてくれることで、精神的な負担が大きく軽減されます。安心して新しい生活を築くことに集中できるでしょう。
6. まとめ:債務整理後の引っ越しは可能!希望を捨てずに弁護士へ相談を
債務整理後に引っ越しを検討する際、「信用情報が原因で賃貸契約ができないのではないか」という不安は当然のものです。しかし、信販系ではない保証会社を選ぶ、保証人が立てられる物件を探す、UR賃貸住宅を検討するなど、適切な回避策を講じれば、賃貸契約を結ぶことは十分に可能です。
借金問題を根本的に解決し、その後の生活再建をスムーズに進めるためには、弁護士のサポートが不可欠です。弁護士は、債務整理の手続きだけでなく、あなたの信用情報に関する影響や、賃貸契約、そしてその後の生活設計に関する具体的なアドバイスも提供してくれます。
一人で悩みを抱え込まず、まずは弁護士に相談してみてください。多くの弁護士事務所では、初回無料相談を実施しており、あなたの状況に合わせた最適な解決策を提案してくれます。
債務整理は、決して終わりではありません。新たな生活を始めるための前向きな一歩です。弁護士の力を借りて、希望に満ちた新生活を手に入れましょう。
