債務整理(任意整理・個人再生・自己破産・過払金)
債務整理でなぜ口座凍結?「いつ」「どの口座が」凍結されるか解説!解除方法と対策を弁護士が徹底解説
【弁護士監修】債務整理後の口座凍結は「なぜ起こるのか」を明確に解説。凍結される期間や範囲、生活への影響を最小限に抑える対策、そして凍結解除までの具体的なステップを網羅。安心して借金問題を解決するための全知識を提供する安心ガイドです。

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借金問題に直面し、債務整理を検討している方にとって、「口座凍結」という言葉は大きな不安材料かもしれません。「生活費が引き出せなくなるのでは?」「給料が受け取れない?」といった心配は尽きないでしょう。
債務整理の種類によっては、確かに口座凍結のリスクが存在します。しかし、どのような場合に凍結されるのか、どの口座が対象となるのか、そして凍結されてしまった場合の解除方法や、事前にできる対策を知っておけば、不要な不安を抱くことなく、冷静に対処することができます。
本記事では、債務整理における口座凍結のメカニズムから、凍結されるタイミング、対象となる口座、さらに解除方法と実用的な対策まで、最新の情報を踏まえながら弁護士が徹底的に解説します。借金問題の解決に向けて、安心して一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。

1. 債務整理と口座凍結の基礎知識:なぜ口座は凍結されるのか?
まず、なぜ債務整理をすると口座が凍結される可能性があるのか、その基本的なメカニズムを理解しておきましょう。
1.1 口座凍結の目的
債務整理における口座凍結は、主に以下の2つの目的で行われます。
- 預金の相殺: 債務者がその金融機関からお金を借りている場合、金融機関は債務者の預金口座にあるお金を、借金と相殺するために口座を凍結します。これは、金融機関が債務者から確実に債権を回収するための行為です。
- 不正な財産隠匿の防止(自己破産・個人再生の場合): 自己破産や個人再生の手続きでは、債務者の財産状況を正確に把握する必要があります。口座凍結は、債務者が手続き中に預金を引き出して財産を隠匿したり、特定の債権者にだけ返済したりするのを防ぐ目的で行われることがあります。
1.2 債務整理の種類と口座凍結のリスク
債務整理には複数の種類があり、それぞれ口座凍結のリスクが異なります。
債務整理の種類 | 口座凍結のリスク | 凍結される主な理由 |
---|---|---|
任意整理 | 低~中 | 交渉相手の金融機関の口座のみ。その金融機関に預金がある場合や、交渉が難航し訴訟に至った場合。 |
特定調停 | 低~中 | 任意整理と同様に、交渉相手の金融機関の口座のみ。 |
自己破産 | 高 | 申立て準備中から手続き完了まで、債務者が保有する全ての銀行口座(特に借入先と関連する口座)が凍結される可能性。破産管財人による財産調査や、債権者による預金の相殺が目的。 |
個人再生 | 中~高 | 自己破産と同様に、債務者が保有する全ての銀行口座(特に借入先と関連する口座)が凍結される可能性。再生計画策定中の財産隠匿防止や、債権者による預金の相殺が目的。 |
2. 「いつ」「どの口座が」凍結されるのか?具体的なタイミングと対象
口座凍結のリスクは、債務整理の種類によって異なりますが、最も気になるのは「いつ」「どの口座が」凍結されるのかという点でしょう。
2.1 口座凍結されるタイミング
口座が凍結されるタイミングは、債務整理の種類と、弁護士(または司法書士)が債権者に「受任通知」を送付する時期が鍵となります。
債務整理の種類 | 口座凍結のタイミング | 詳細 |
---|---|---|
任意整理・特定調停 | 受任通知送付直後 | 弁護士が債権者(金融機関)に受任通知を送付した直後、その金融機関は口座を凍結し、債務者の預金と借金を相殺(預金債権と貸付債権を消滅させる)します。この相殺処理が完了すると、口座は解除されますが、預金は失われます。 |
自己破産・個人再生 | 受任通知送付直後 または 申立て後 | 債務者が借り入れをしている金融機関の口座は、受任通知送付直後に凍結されます。また、それ以外の金融機関の口座も、破産管財人による調査や、債権者からの情報提供により、裁判所への申立て後や管財人選任後に凍結される可能性があります。 |
重要ポイント: 弁護士が受任通知を送付する前に、債務整理の対象となる金融機関の口座から預金を全て引き出しておくことが非常に重要です。受任通知が金融機関に届いてしまうと、預金を引き出せなくなる可能性があります。
2.2 口座凍結の対象となる口座
口座凍結の対象となるのは、原則として、借入をしている金融機関の口座です。
対象となる口座 | 詳細 |
---|---|
借り入れをしている金融機関の口座 | 最も凍結リスクが高い口座です。普通預金、定期預金、積立預金など、その金融機関にある全ての預金口座が対象となる可能性があります。公共料金の引き落とし口座や給与の振込口座にしている場合は、特に注意が必要です。 |
借り入れはしていないが、グループ会社に債権者がいる金融機関の口座 | 例えば、A銀行から借り入れはないが、A銀行グループの消費者金融B社から借り入れがある場合、A銀行の口座も凍結される可能性があります。これは、グループ会社間で顧客情報が共有されているためです。 |
自己破産・個人再生の場合の他の金融機関の口座 | 自己破産や個人再生では、債務者の全ての財産が調査対象となるため、借り入れ先ではない金融機関の口座も、財産調査の一環として確認され、場合によっては凍結されることがあります。ただし、これは一時的なものであり、預金相殺が目的ではありません。 |
凍結されない可能性が高い口座:
- 借入先ではない金融機関(銀行、信用金庫、ゆうちょ銀行など)の口座
- ネット銀行の口座(ただし、借り入れがある場合は凍結リスクあり)
3. 口座凍結による生活への影響と具体的な対策
口座が凍結されると、日常生活に大きな支障が出ることが予想されます。事前にどのような影響があり、どのような対策を取れば良いのかを知っておきましょう。
3.1 口座凍結による主な影響
- 預金の引き出し不能: 口座内の預金が全て凍結され、引き出すことができなくなります。
- 公共料金・家賃の引き落とし不能: 凍結された口座を公共料金や家賃の引き落とし口座にしている場合、引き落としができず、滞納となる可能性があります。
- 給与・年金等の受け取り不能: 給与や年金、各種手当などの振込先口座が凍結されると、お金を受け取ることができません。
- クレジットカードやデビットカードの利用不能: 口座に紐付いているクレジットカードやデビットカードも利用できなくなります。
- インターネットバンキングの利用不能: インターネットバンキングでの各種取引もできなくなります。
3.2 口座凍結への具体的な対策
口座凍結による影響を最小限に抑えるためには、弁護士に依頼する前に、あるいは受任通知が発送される前に、以下の対策を講じておくことが重要です。
対策項目 | 詳細 | 実施タイミング |
---|---|---|
預金の引き出し・移動 | 債務整理の対象となる金融機関の口座から、全ての預金を現金で引き出すか、他の金融機関の口座に移しておく。 これが最も重要かつ基本的な対策です。生活費や当面の費用を確保しましょう。 | 弁護士に依頼する直前、または受任通知発送前 |
給与・年金振込口座の変更 | 給与、年金、各種手当などの振込先口座を、債務整理の対象ではない金融機関の口座に変更する。 会社の人事部や年金事務所などに早めに連絡し、変更手続きを進めましょう。 | 弁護士に相談し、債務整理を依頼する直前 |
公共料金・家賃等の引き落とし口座の変更 | 公共料金(電気、ガス、水道、電話、インターネットなど)や家賃、各種保険料などの引き落とし口座を、債務整理の対象ではない金融機関の口座に変更する。 口座振替依頼書の提出など、手続きに時間がかかる場合があるため、早めに着手しましょう。 | 弁護士に相談し、債務整理を依頼する直前 |
デビットカード・クレジットカードの利用停止 | 債務整理の対象となる金融機関が発行しているデビットカードやクレジットカードは利用停止となるため、別のカードを用意するか、現金での支払いに切り替える準備をする。 | 弁護士に依頼する直前 |
新たな口座の開設 | 念のため、現在利用している口座とは別の金融機関で、新たな口座を開設しておくことも有効です。 | いつでも |
重要: これらの対策は、**弁護士に債務整理を依頼する前に完了させておくことが理想的です。**弁護士が受任通知を送付した後では、対策が手遅れになる可能性があります。

4. 口座が凍結されてしまった場合の解除方法
もし口座が凍結されてしまった場合でも、適切に対処すれば解除することは可能です。
4.1 任意整理・特定調停の場合
任意整理や特定調停の場合、口座を凍結するのは、あなたが借り入れをしている金融機関です。
- 相殺処理の完了: 金融機関は、口座凍結後、あなたの預金と借金を相殺する手続きを行います。この相殺処理が完了すれば、口座は凍結解除されます。ただし、預金は失われます。
- 債務整理手続きの進展: 相殺処理後、弁護士が債権者(金融機関)との間で和解交渉を進め、和解が成立すれば、口座は完全に解除されます。
この種類の凍結は、一時的なものですので、過度に心配する必要はありません。ただし、凍結期間中の生活費は、事前に引き出しておいた現金や、別の口座に移しておいたお金で賄う必要があります。
4.2 自己破産・個人再生の場合
自己破産や個人再生の場合、口座凍結の解除は、手続きの進展状況によって異なります。
- 破産管財人による調査の完了(自己破産): 自己破産の場合、破産管財人が選任されると、債務者の財産状況(預金も含む)を調査します。この調査が完了し、財産の処分や配当が適切に行われれば、口座凍結は解除されます。ただし、口座内の預金は債権者への配当に充てられるため、手元には残りません。
- 再生計画の認可(個人再生): 個人再生の場合、再生計画が裁判所に認可されれば、口座凍結は解除されます。口座内の預金は、再生計画における清算価値に含められ、債権者への返済に充てられることがあります。
いずれの場合も、口座凍結の解除にはある程度の時間がかかります。自己破産や個人再生を検討する場合は、弁護士と密に連絡を取り、今後の見通しを確認しておくことが重要です。
5. 債務整理は弁護士に依頼すべき!口座凍結対策も含めた最大のメリット
債務整理は、人生を再スタートさせるための重要な手段です。しかし、その手続きは複雑であり、口座凍結などのリスクも伴います。だからこそ、弁護士に依頼することを強く推奨します。
5.1 受任通知による迅速な取り立て停止と凍結回避のアドバイス
弁護士に債務整理を依頼すると、まず最初に行われるのが「受任通知」の送付です。この通知が貸金業者に届いた時点で、**あなたへの直接の督促や取り立ては、法律により即座に停止します。**これにより、精神的な重圧から解放されるだけでなく、弁護士が口座凍結に関する適切なアドバイスを提供し、事前の対策を促してくれます。
5.2 債務整理の種類を適切に判断し、リスクを最小限に抑える
弁護士は、あなたの借金の状況、収入、資産、家族構成などを詳しくヒアリングし、最適な債務整理方法を提案してくれます。 例えば、「この銀行に口座があるから任意整理は避けるべき」「自己破産をすると口座が凍結される可能性が高いので、事前にこういった対策をとりましょう」など、口座凍結のリスクも考慮に入れた上で、あなたの状況に最も合った解決策を導き出してくれます。これにより、不必要な口座凍結を避けたり、影響を最小限に抑えたりすることができます。
5.3 複雑な手続きの全てを代行
債務整理の手続きは、書類作成、裁判所への申立て、債権者との交渉など、非常に複雑で時間と労力がかかります。
- 書類作成: 膨大な量の書類作成を代行し、不備なく提出してくれます。
- 交渉: 弁護士があなたの代理人として、貸金業者と直接交渉します。個人では難しい有利な条件での和解も、弁護士の交渉力があれば実現可能です。
- 裁判所対応: 自己破産や個人再生では、裁判所との複雑なやり取りが必要になります。弁護士が代理人として対応してくれるため、あなたは裁判所に直接出向く手間を省けます。
5.4 精神的な負担を軽減し、新たなスタートをサポート
借金問題は、精神的に非常に大きなストレスを伴います。弁護士に依頼することで、まず取り立ての停止により、大きな精神的負担から解放されます。そして、手続きの全てを専門家に任せることで、あなたは安心して生活の再建に集中することができます。 弁護士は、単に手続きを進めるだけでなく、あなたの経済的・精神的な再生をトータルでサポートしてくれる心強い味方です。
5.5 最新の法律情報と判例に基づく的確なアドバイス
法律は常に変化しています。弁護士は、債務整理に関する最新の法改正や判例を熟知しており、それに基づいて的確なアドバイスを提供してくれます。個人で情報を集め、判断するよりも、はるかに正確で信頼性の高い情報を得ることができます。
6. まとめ:口座凍結を恐れず、まずは弁護士に相談を
債務整理における口座凍結は、確かに注意すべき点ですが、そのリスクを過度に恐れる必要はありません。正しい知識と適切な対策、そして弁護士のサポートがあれば、十分に回避したり、影響を最小限に抑えたりすることが可能です。
借金問題は、一人で抱え込んでも解決しません。むしろ、時間が経てば経つほど状況は悪化し、解決が困難になるケースがほとんどです。
「いつ口座が凍結されるのだろう」「どの口座が危ないのか」といった不安を抱えながら日々を過ごすのではなく、まずは勇気を出して弁護士に相談してください。多くの弁護士事務所では、初回無料相談を実施しており、あなたの状況を丁寧に聞き取り、最適な解決策を無料でアドバイスしてくれます。
弁護士は、口座凍結のリスクも踏まえた上で、あなたの借金問題を根本から解決し、心穏やかな新しい生活を取り戻すための最適なサポートを提供してくれるでしょう。今日が、その一歩を踏み出す「最新」のタイミングです。
