債務整理(任意整理・個人再生・自己破産・過払金)
【2023年最新】任意整理を徹底解説!メリットデメリット、仕事やブラックリストへの影響も
任意整理の詳しい仕組みやメリット・デメリットが分からず、相談を懸念されている方も多いのではないでしょうか。この記事では、任意整理の仕組みやメリット・デメリット、よくある質問について詳しくご紹介します。この記事が、弁護士に依頼するか判断を決めかねている方や借金問題を抱えてお困りの方の一助となれば幸いです。
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皆さんは「任意整理」という言葉を聞いて、どのようなイメージを抱きますか?
任意整理とは、借金を負った人(債務者)の生活を再建させるための解決手段である「債務整理」という制度の中にある、一つの手続きを指します。
具体的には、債務者が無理なく返済できるよう「借金をしている業者に(債権者)利息(利子)のカットや長期分割払いにしてもらうよう交渉すること」により、返済額を引き下げる手続のことです。
任意整理をするにあたって、詳しい仕組みやメリット・デメリットが分からず、「大きなダメージがあるのではないか」と、懸念されている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、任意整理について初めて勉強する方でも分かりやすいよう、任意整理の仕組みやメリット・デメリット、その他よくある質問について詳しくご紹介します。
この記事が、任意整理について知りたい方はもちろん、弁護士に依頼するか判断を決めかねている方、借金問題を抱えてお困りの方の一助となれば幸いです。
そもそも任意整理とは
「任意整理」とは、借金を負った人(債務者)が無理なく返済できるよう「借金をしている業者(債権者)に対し、将来金利のカットや3〜5年の長期分割払いにしてもらうことで、返済額を引き下げる手続のこと」です。
任意整理は、債務整理の手続の中で唯一、裁判所を通す必要がありません。
公的機関を通さないことから、直接時間を作って裁判所に出向いたり、数の多い必要書類を用意する手間があまりかからないという利点があります。
そのため、債務整理の中で、最も利用されている借金問題解決手段です。
任意整理はその名の通り、強制力のない任意の解決方法で、あくまで私的な手続きになります。
従って、任意整理を成立させるには、債権者の合意が必要不可欠です。
任意整理をするにあたって、弁護士や司法書士のみが代理人として介入します。
代理人が債務者と毎月支払いに回せる金額について話し合った後、返済計画書を作成し、それを元に、債権者と和解交渉を進めるのです。
和解交渉をする際、債務者が債権者と直接交渉することも可能ですが、個人では応じてもらえないことが多々あります。
よって、弁護士や司法書士に依頼して代理人になってもらい、交渉を進めるのが一般的です。
和解内容も債権者との交渉次第ですが、「将来利息(利子)を0にして、3〜5年程度の長期分割で支払いをする」といった内容で合意に至るケースが多数を占める印象です。
一方で、お金の借り入れから任意整理を決断するまでの期間が短い(1年未満)ケースでは、上記のような合意内容が認められない場合もあるため、ご注意ください。
「将来利息」とは、現時点で残っている借金(債務)に対し、完済するまで支払い続ける予定の利息=利子を指します。
名前 | 任意整理 |
主な内容 | ・将来利息を0にするなど、債権者と合意した金額を3~5年程度の長期間分割で支払う ▶︎毎月の返済額を下げたい人向け |
条件 | ・借金を返済できるか ※借金の元金を36回(3年)または60回(5年)で割った額が毎月支払えるかが判断基準 ・生活保護受給者ではない ・任意整理が適応されるのは、利息制限法で定められた利率より高い利息に限る《買い物や自動車ローン、クレジットカードローン、住宅ローンなど、利息制限法より低い金利の借金は減額不可》 |
執行の強さ | 合意は「債権者」次第 |
裁判所を 通すか否か | 通さない |
返済期間 | 3〜5年 |
金額 | 大幅な減額なし |
信用情報への記載(ブラックリスト) | ・信用情報に掲載される 《住宅ローン、自動車ローン、携帯電話の本体の分割払い購入一時不可》 |
新たなローンや カード作成期間 | 約5年 |
非免責事項 | 税金(所得税・法人税・住民税など)国民健康保険料・国民年金保険料罰金(駐車違反など)損害賠償(悪意・故意・重過失)養育費や教育費 |
差し押さえ | 原則、家や車を手放す必要なし |
保証人への (連帯保証人) 影響 | 保証人(連帯保証人)に影響なし |
仕事や職場への 影響 | 制限なし |
周囲への影響 | バレにくい |
任意整理できる条件
続いて、任意整理を依頼できる条件についてご紹介します。
1. 《借金元本》を減らす場合、任意整理を検討中の借金が「利息制限法」で定められている利率より高い
借金元本を減らせる任意整理ができる条件は、「利息制限法」で定められている利率より高い利息の借金であることが挙げられます。
「利息制限法」とは、貸付の際の金利(利息)の上限を定めた法律です。債権者が過剰な金利を設定して貸し付けることがないよう、貸し付けの際の金利の上限を定めています。
貸付の際の金利だけでなく、返済が遅れた場合支払う必要のある「遅延損害金」にも、借入金額に関わらず、年14.6%の上限利息が設けられています。
詳細については、次の表をご覧ください。
元本金額(借金した金額) | 上限利息(その利子) |
元本金額が10万円未満の上限金利 | 年20% |
元本金額が10万円以上から100万円未満の上限金利 | 年18% |
元本金額が100万円以上の上限金利 | 年15% |
上記の表を参考に、利息制限法で定められた《上限利息》より低い場合、借金元本の減額対象にはなりません。
「利息制限法」の範囲内の借金であっても、任意整理は可能ですのでご安心ください。
借金元本を減額できない場合でも、下記のようなメリットがあるため、是非弁護士に相談してみてください。
- これから支払う利息(将来利息)のカット
- 最終返済日から任意整理の和解日までに発生する利息(経過利息)のカット
- 借金返済を滞納している期間に課される利息である(遅延損害金)のカット
- 月々の返済額を減らす、長期分割払い
2. 借金を3~5年の期間で完済できる
「借金を3〜5年の期間で完済できるか」という点も任意整理を依頼する上で、重要なポイントです。
具体的な返済基準は、借金の元金を36回(3年)または 60回(5年)で割った額が毎月支払えるかどうかで判断されます。
例えば、100万円を元金として計算する場合、月々の返済額は次の通りです。
【 36回払いでは月約27,777円、60回払いでは月約16,666円 】
借金を3〜5年の期間で完済できるかというのは、つまり「月々決まった額を返済できる安定した収入」があることが必要条件です。
給料が差し押さえられていたり、3〜5年の期間で完済できる見込みがない場合、任意整理できる可能性は低くなります。
3. 任意整理を検討中の借金に担保や連帯保証人を設定していない
任意整理を検討している借金の中には、土地や住宅、車などの「担保」や「連帯保証人」が設定されている場合があります。
任意整理をするとそれぞれどのような影響があるのか、次の表をご覧ください。
担保 | 連帯保証人 |
担保の差し押さえ→売却処分→ 売却額を借金から細引かれる | 債務者が取り立てを受けなくなる代わりに、 連帯保証人に借金返済の催促をされる |
担保が設定されている場合、任意整理をすると担保に入れた土地や住宅、車などが差し押さえられます。
債権者は、担保を売却処分することで、債権(借金)に充当する=売却額を借金から差し引くのです。
債務者にとって、任意整理で借入金額を減額する利点がないため、和解交渉に至らず、債務整理できないというケースがほとんどです。
また、連帯保証人を設定した借金を任意整理する場合、債権者は、任意整理=返済不可能になったサインと受け取ります。
従って、債務者の代わりに借金を返済すると契約した連帯保証人が借金返済を催促されてしまうのです。
「担保に設定した土地や住宅、車など手放す必要がある」「連帯保証人に迷惑がかかってしまう」などのデメリットを承諾できない場合、任意整理は難しいでしょう。
4. 借金の返済歴がある
借金(債務)を一度も返済していない場合、任意整理できる可能性は非常に低いでしょう。
借金を一度も返済しないまま任意整理の交渉をすると、債権者に「返済の意思がない」「最初から踏み倒すつもりだったのではないか」と判断されてしまうのです。
それゆえ、和解交渉に応じてもらえず、任意整理の手続きを進めることは困難と言えます。
任意整理を行うには、最低でも数ヶ月から半年の返済歴があると、債権者に応じてもらえる可能性が高まります。
重ねて、お金の借り入れから任意整理を決断するまでの期間が短い(1年未満)ケースでは、任意整理が認められない場合もあるため、ご注意ください。
5. 生活保護受給者または受給を検討中ではない
「生活保護」を受けている場合、基本的に保護費を借金の返済に充てることはできません。
生活保護と合わせて債務整理をする場合、自己破産が最適な解決策となります。
生活保護とは、生活のために最小限の生活費を得られない人に対して、生活費や医療費、住宅費などを支給する社会保障制度です。
生活保護費を借金の返済に充てた場合、それは収入と見なされ、保護費の返還を求められたり、生活保護が廃止されてしまいます。
生活保護の受給を検討している方も同様に、任意整理や個人再生は、安定した収入があることが前提条件のため、基本的には選択することはできません。
従って、自己破産を選択することになります。
「個人再生」とは、「裁判所を通し、借金(債務)を大幅に減額することを認めてもらい、3〜5年の長期分割払いにする手続のこと」を指します。
「自己破産」とは、「財産がないことで、借金(債務)が全く返済できない場合、裁判所を通し、借金(債務)の全額免除を認めてもらう手続のこと」を指します。
任意整理で減額される可能性のある利息・遅延損害金
任意整理で減額される可能性のある利息・遅延損害金についてご紹介します。
詳細については、次の表をご覧ください。
名前 | 内容 |
(1) 経過利息 | 最後に借金を返した日から任意整理の和解日までに発生する利息のこと |
(2) 将来利息 | 現時点で残っている借金に対し、今後完済するまで支払う利息のこと |
(3) 利息制限法を 超過した利息 | 利息制限法で定められている《年利15%〜20%》を超える部分の利息のこと |
(4) 遅延損害金 | 返済が遅れた場合、支払う必要のある利息のこと |
1. 経過利息
最終返済日から任意整理の和解日までに発生する「経過利息」も任意整理の対象です。
任意整理をする際、経過利息の免除を交渉します。
2. 将来利息
現時点で残っている借金(残元金)に対し、完済するまで支払う「将来利息」も任意整理の対象の一つです。簡単にまとめると、任意整理の和解日以降に発生する利息を指します。
こちらの利息は任意整理をする場合、減額またはゼロにできる可能性が高いです。
債権者の合意が得られ、将来発生する利息を免除してもらうことで、月々の支払いの負担も軽減されるでしょう。
3. 利息制限法を超過した利息
「利息制限法を超過した利息(グレーゾーン金利)」も対象になります。
利息制限法を超過した利息とは、「利息制限法」で定められた年利15%〜20%(元本金額により異なる)を超える部分の利息のことです。
「出資法」の改正前である2010年6月17日以前に、消費者金融やクレジットカードのキャッシングを利用した場合、グレーゾーン金利が発生しているかもしれません。
任意整理をする際、利息制限法を超過した利息の免除を交渉します。
こちらのグレーゾーン金利は、過払金と深く関係があるため、詳しい内容は次の章でご紹介します。
4. 遅延損害金
借金返済を滞納している期間に課される利息である「遅延損害金」も任意整理の対象です。
返済期日に返済できなかった場合、翌日から年利上限14.6%の損害金が発生します。
任意整理をする場合、任意整理の和解日までの遅延損害金の免除を交渉します。
任意整理で発覚する過払金
続いてご紹介するのは、任意整理で減額される可能性のある利息の部分でご紹介した「過払金請求」についてです。
「過払金」は、任意整理をする過程で、判明することがある「実際には払う必要がないにも関わらず、払いすぎた利息」のことです。
過払金を返してもらう手続のことを「過払金返還請求」と呼び、「利息制限法」の上限を超えて貸付をおこなっていた貸金業者に対し、「不当に払い続けていた利息の返還を求めること」を意味します。
過払金が発生する原因に、「利息制限法」における上限金利の改正が挙げられます。
法改正される前(2010年6月17日以前)の「出資法」の上限金利は、29.2%でした。
改正前の上限金利(29.2%)と利息制限法の上限金利(15〜20%)の差が「グレーゾーン金利」で、この金利での支払い分を「過払金」と呼びます。
この場合も、裁判所を通さず、債権者との直接交渉で和解へと協議していきます。
そのため、迅速で速やかな示談交渉力のある弁護士が手続を行うことで、相談者の権利を守り、円滑に問題解決へと進めることができるでしょう。
ただし、過払い金返還請求するには、下記2点の条件に該当する必要があります。
- クレジットカードのキャッシングサービスを2010年6月17日以前かつ買い物以外での支払いで使用したこと
- 借金をすべて返済した期間が10年以内であること(借り入れをしてから10年間、ではありません)
過払金返還請求をした場合、該当の業者から今後借り入れづらいというデメリットはありますが、払いすぎたお金が戻り有効活用できる利点があります。
重ねて、借金を完済している場合、信用情報(ブラックリスト)には、記載されず、各種ローンを含め、新しい借り入れが可能です。
過払金返還請求をするにあたって、弁護士などの直接交渉でも対応可能ですが、「過払金返還請求訴訟」(過払金の返還請求のための裁判)を行うと、返還の確実性や返還額が高まる傾向にあります。
過払金があるか判断が難しい方や過払金をより多く取り戻したい方、過払金返還請求の裁判の手続について詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。
任意整理のメリット
1. 無理なく返済できるようになり、生活が立て直せる
任意整理は、弁護士や司法書士が代理人として介入し、債務者と毎月支払いに回せる金額について話し合った後、返済計画書を作成し、それを元に債権者と和解交渉を進めます。
返済計画は、現実的な経済状況に基づき、支払額と返済期間のバランスについて慎重に検討し作成されるため、返済が可能な範囲で借金を整理することが可能です。
債権者が先ほどご紹介したような将来利息などの利息・遅延損害金類の免除を受け入れた場合、借金の元金のみの返済となります。
毎月の返済額=負担が減り、借金完済までの目処が立てられるだけでなく、生活を立て直せるのが大きな利点ではないでしょうか。
2. 過払い金が発生していた場合、元金も減らせる
先ほど、「出資法」改正前の上限金利(29.2%)と「利息制限法」の上限金利(15〜20%)の差が「グレーゾーン金利」で、この金利での支払い分を「過払金」である、とご紹介しました。
この過払金が判明した場合、貸金業者(債権者)に対し、不当に払い続けていた利息の返還を求める「過払金返還請求」を行います。
債権者と和解し、条件を受け入れてもらった場合、実際には払う必要がないにも関わらず、払いすぎた利息分が戻ってくるのです。
過払い金が生じた返済中の借金がある場合、残りの借金を過払金分で相殺することで、返済の必要がなくなったり、額が大きければ利息分のお金が戻る可能性があります。
すでに借金を完済しているのなら、大きな不利益もなく、お金を取り戻せるかもしれません。
3. 督促や取り立てが止まり、家族や会社など周囲にバレるリスクが少ない
任意整理する場合、弁護士が債権者に「受任通知(介入通知)」という法律上の強制力を持つ書類を送ります。
弁護士が連絡窓口になるため、郵便物や電話など、直接債権者の督促や取り立てを受けなくなることから、周囲の人間にバレるリスクは低いでしょう。
債務者が直接交渉する必要がない上に、裁判所を通さない手続のため、必要書類の作成や会社への申請、裁判所へ出向くことはありません。
重ねて、債務者の家族は信用情報(ブラックリスト)に記載されないため、家族に知られることはないでしょう。
また、債務者の配偶者名義や子供(成人済み)名義でローンを組むことが可能です。
一方で、個人で任意整理の手続をする場合、必要書類を集めたり、貸金業者と直接やり取りを進めることになります。
そのため、電話連絡や書類作成・書類集めなどの連絡の過程で同居家族に知られる可能性があるので、ご注意ください。
4. 任意整理したい借入先を選べる
任意整理は、任意整理はその名の通り、強制力のない任意の解決方法で、あくまで私的な手続きです。
そのため、複数の債権者に借金をしている場合、債務者が任意整理したい債権者だけに交渉を持ち掛けることができる=任意整理の対象となる債権者を選べます。
保証人を設定している借金を任意整理から外す=任意整理しない場合、保書委任に迷惑をかけることなく、返済可能な範囲で借金を整理できるのです。
また、任意整理したくない借金を対象から外すことで、残したい財産を残せる点が大きなメリットではないでしょうか。
5. 条件により、保証人への影響なし
保証人へ影響のない任意整理には2種類あります。
- 保証人を設定していない借金を任意整理する場合
- 保証人を設定しないない借金のみを選択して任意整理する場合
保証人を設定していない借金はもちろん、保証人を設定していない借金のみを洗濯して任意整理する場合、保証人は督促や取り立てを受けることはありません。
先ほどご紹介した通り、任意整理は、任意整理をする債務(借金)を個別に選択することが可能です。
そのため、保証人を設定していない借金のみを選択し、任意整理することで、保証人へ借金の返済義務が移ることはないのです。
一方で、保証人を設定している借金を任意整理する場合、債権者は、債務者が返済不可能になったサインと受け取ります。
債務者が返済不能となった場合、保証人は債務者の代わりに借金の返済を求められるのです。
従って、保証人が関与している借金については、任意整理をする前に、保証人との関係を十分に配慮することが大切です。
保証人のいる借金を任意整理する場合は、弁護士などの専門家に、債務者や保証人の具体的な状況に応じたアドバイスを仰ぐとよいでしょう。
6. 車や家など財産を守れる
債務者が守ることができる財産は、自動車や不動産、現金、銀行の預貯金、株券等の有価証券、生命保険をはじめとする、債務者が所有するすべての財産です。
ただし、残せる財産は、あくまで本人が所有しているものであり、その財産が担保になっていないことが条件です。
担保が設定されている借金を任意整理する場合、担保を売却処分し、売却額を借金から差し引く=差し押さえとなります。
任意整理のデメリット
1. 信用情報への記載(ブラックリスト)
この記事を読んでいる皆さんの中にも、任意整理をすると信用情報(ブラックリスト)へ記載されるのか、心配されている方も多いのではないでしょうか。
信用情報とは、個人や法人が金融機関やクレジットカード会社などから融資を受ける際に関わる情報のことです。
日本における、主要な信用情報機関は次の3つです。
名前 | 加盟期間 |
全国銀行個人信用情報センター(KSG) | 銀行・信用金庫・信用保証協会など |
株式会社シー・アイ・シー(CIC) | クレジットカード会社 |
株式会社日本信用情報機構(JICC) | 消費者金融 |
結論として、任意整理をした場合、信用情報(ブラックリスト)へ記載されてしまいます。
信用情報(ブラックリスト)に登録されるタイミングは、任意整理の受任通知を送付した日で、その期間は借金完済後から5年程度です。
「受任通知」とは、弁護士が債権者に通達する法律上の強制力を持つ書類です。この書類を通達した場合、郵便物や電話など、債務者が直接債権者の取り立てを受けなくなります。
ここで注意したいのは、任意整理で「過払金返還請求」をした場合です。
過払金が借金元本よりも少なく、負債が残る場合は、信用情報(ブラックリスト)へ記載されてしまいます。
また、負債が残らない場合でも、債権者により、過払い金請求手続が完了するまで一時的に信用情報(ブラックリスト)に記載されてしまうことがあります。
信用情報(ブラックリスト)記載にあたり制限される条件は、次の通りです。
制限 | 制限内容や注意事項 |
ローンやキャッシングなどの借り入れ | 「信用情報に記載中でも借入できる」などと謳う業者は、違法な闇金業者の可能性が高い。 |
クレジットカードの利用や新規作成 | 現在使用しているカードは、強制解約となる。 |
奨学金の保証人 | 借金の契約時には保証人も審査の対象になるため。どうしてもカードを使う必要性がある場合、家族カードやデビットカードなどを利用する。 |
携帯電話やスマートフォンの分過払い | 一括払いなら購入可能。 |
▲ 賃貸契約 | 賃貸物件の審査時に信用情報が問われることは少ないが、 家賃保証会社との契約を義務付けている場合には難しい。 |
ただし、信用情報(ブラックリスト)に登録される期間は、永久的ではなく、借金完済後から約5年程度となります。
掲載期間中は、いつくか制限がありますが、信用情報が回復すれば、制約は撤廃されます。
上記のような制約を承諾した上で、返済が可能な範囲で借金を無理なく整理し、生活を立て直したいという場合には、任意整理が適しているでしょう。
2. 収入が無ければ利用できない
任意整理を行う場合、「月々決まった額を返済できる安定した収入」があることが前提条件です。
任意整理とは、利息をカットしたり、長期分割払いすることで、無理なく返済できるようにする手続を指します。
元本の返済は任意整理後も続くため、具体的な返済基準である、【借金の元金を36回(3年)または 60回(5年)で割った額】が毎月支払える余裕のある収入が必要です。
3. 任意整理に至らない相手もいる
任意整理は、裁判所を通さないあくまで私的な手続きになります。
従って、任意整理を成立させるには、債権者の合意が必要不可欠です。
多くの債権者は、「支払い期間が延長されても(分割されても)全額支払ってほしい」「利息は免除するから元本は完済してほしい」と考えるケースが多い印象です。
しかし、任意整理の合意に至らない債権者がいたり、応じた場合でも、元本の返済分割回数が制限されてしまうこともあります。
重ねて、お金の借り入れから任意整理を決断するまでの期間が短い(1年未満)ケースでは、任意整理が認められない場合もあるため、ご注意ください。
よくある質問
Q1. 任意整理を周囲に公表されてしまうのか?
A. 任意整理をした場合、周囲に公表される心配はありません。
裁判所などの公的機関を通さない任意整理は「官報」に掲載されないため、世間に知られることはないでしょう。
ただし、「個人再生」や「自己破産」を行った場合、本人の住所や名前が「官報」に掲載されてしまいます。
官報とは、内閣府が行政機関の休日を除き毎日発行している新聞のようなものです。 法律・政令・条約などの公布をしています。
Q2. 戸籍や住民票に任意整理をしたことが残ってしまうのか
A. 任意整理をしても、戸籍や住民票に任意整理をした記録は残りません。
先にご紹介した通り、任意整理をすると信用情報(ブラックリスト)に一定期間記載されますが、官報には載らないため、公的記録に残る心配はないでしょう。
重ねて、「個人再生」や「自己破産」を行った場合でも、情報が掲載されるのは官報のみで、戸籍や住民票にはその情報は載りません。
Q3. 年金が支給されないのか
A.任意整理をしても、年金支給や受給額が減る心配はありません。
前提として、公的年金(国民年金・厚生年金)の受給は、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利(憲法第25条)」により保障されています。
重ねて、裁判所を通さず、債権者との直接交渉である任意整理では、影響はないのです。
また、「個人再生」や「自己破産」を行った場合でも、同じく影響はありません。
ただし、個人年金(個人年金保険)については取り扱いが異なり、解約する可能性があるため注意が必要です。
Q4. 任意整理中に債権者は裁判を起こされるか
A. 任意整理中でも、債権者は裁判を起こせます。
債権者により、任意整理の和解までに一定期間が経過した場合、裁判を起こされることがあります。
XP法律事務所では、裁判を起こされる前に、確かな交渉力で和解を成立させますので、ご安心ください。
Q5. 奨学金を受けられなくなるのか
A. 奨学金を申し込む本人が信用情報(ブラックリスト)に登録されていなければ、奨学金を申し込むことが可能です。
原則として、両親の借金整理や延滞などの情報は、子供の奨学金とは関係がありません。
ただし、債務整理をした親が子どもの保証人になりたい場合には、審査に通らない可能性が高いです。
その場合、別の保証人や保証会社を検討する必要があります。
任意整理は、弁護士へ相談しましょう
1. 豊富な経験と相談実績で最適な和解内容に導くことが可能
任意整理を強みにしている法律事務所では、豊富な経験と相談実績を持っており、債務者にとって心強い存在になってくれるのではないでしょうか。
弁護士に一任することで、スムーズな問題解決や精神面や時間・費用の負担を軽減することにも繋がることも多いです。
弁護士からのアドバイスを受けることで、迅速かつ効果的な対応が可能となります。
直接出向かなくても、LINEやフリーダイヤルでの電話相談を無料で受けてくれる法律事務所もありますので、活用してみるのも一つの手ではないでしょうか。
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2. 債務者が直接債権者の取り立てのやり取りや交渉をする必要がなくなる
弁護士に任意整理を依頼した場合、各債務者へ、法的強制力のある「受任通知(介入通知)」を発送します。
債権者は、連絡窓口代わりである弁護士とやり取りする必要性が生じるため、債務者は電話や書類、直接の取り立てなどを受けなくなります。
また、債務者と交渉する場合、迅速で速やかな示談交渉力のある弁護士が手続を行うことで、円滑に物事を進められるでしょう。
3. 煩雑なやり取りを代行してもらえる
任意整理では債権者と和解交渉をしなければならず、法的観点に基づいた説得力のある交渉スキルが必要になります。
また、債務者個人では、債権者が任意整理に応じない場合でも、弁護士が代理人として介入することでスムーズに借金問題を解決できたりすることもあります。
法律の専門家である弁護士の知識と経験を頼りに、あなたにとって最適な対応策を見つけましょう。
まとめ
今回の記事では「任意整理」の詳しい内容や減額される可能性のある利息、メリット・デメリット、よくある質問についてご紹介させていただきました。
任意整理をすることで、払えきれない借金の月々の返済額が減り、借金完済までの目処が立てられるだけでなく、負担が軽くなり、生活を立て直せるようになるのです。
また、弁護士に依頼することで、煩雑な手続や負担の大きな和解交渉を代行してもらえることはもちろん、直接取り立てを受けなくなったりと、精神面や時間・費用の負担を軽減できるといったメリットがあります。
今回、任意整理について詳しくご紹介したことにより、債務整理について知りたい方や借金問題を抱えてお困りの方の一助となれば幸いです。
※こちらの記事は、2023年7月11日時点の情報です。